MIS.W 公式ブログ

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【CGから】アナログ絵のすゝめ [AdventCalendar15日目]

こんにちは。47代のLabradと申します。

今日はCG研から、CGではない話をしてみたいと思います。 そう、アナログ絵です。その中の油絵やアクリルの話です。水彩については魅力的だと思いますが、個人的には疎いので今回は言及しません。すみません。 CGとは関係ないんじゃないかと思われるかもしれませんが、そんなことはありませんよ。 CGとアナログの技術は相互に影響を及ぼし合う上、結構、やってることは同じ部分がある…と私は思います。

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先日の活動でこの絵↑のメイキングを紹介しましたが、ベースとなるような技術はアナログ絵で培ったものです。 (スライドへのリンク) そういったアナログ絵は線画がいらないのも自分にとっての魅力かもしれませんね。また、実際に自分の手を動かして描くものですからよりタッチが残りやすいです。不完全な筆致といってしまえばそれまでですが、「温かみ」や「味」のようなものと言い張ることができます。どうですか?ちょっと興味が出てきませんか?

でもでも…という方へ 初期費用?まあペンタブ代程度はかかりますよね。 部屋が狭い?片付ければ大丈夫。換気しましょう。 手が汚れる?洗いましょう。落ちにくいけど。 …とまあ、いろいろ面倒なことはありますし、手が出しにくいかもしれません。 ですが、何よりも、描いた絵が実物として存在するというのは気分がいいものです。部屋にも飾れますよ。 ということで、少しでも興味を持ってくださればいいなと思います。

ちなみに…油彩とアクリルの違いですが、油彩は乾燥が遅いゆえに美しい混色が生まれます。アクリルは作業時間が短く済むのと、絵の具の発色がはっきりしていると思います。アニメ的というか。安っぽくもなり魅力にもなるでしょう。好みに合わせて選びましょう。

1)道具をそろえよう!

まず道具がなければ話になりません。CGにおけるPC+ペンタブ+ソフトにあたるものですね。この三つを揃えるのよりは安く入手できます(さすがに)

中学や高校の美術の時間にアクリル絵の具を使った人はそれに買い足して使えばいいでしょう。何も持っていなくても、今は便利なもので、世界堂等の画材屋さんに行けば入門セットが売っています。油絵でもアクリルでも、大体必要なものは以下のとおりです。

・画材入れ…木やプラスチックのトランクのようなもの ・絵の具…最初はセットを買おう。蛍光色等は後で買い足そう。蛍光ピンクは捗ります。 ・筆…セットに入ってる中くらいの筆に加えて、大きい筆と、細い筆があればやりやすいです。豚毛やポリエステルがいいでしょう ・パレット…面倒くさがりは紙パレットにしましょう ・水in筆洗またはペインティングオイルin油壺とリムーバー ・ナイフ(油の場合のみ・必要に応じて) ここまではおそらく入門セットに入っていることでしょう ・キャンバス…F8くらいがいいんじゃないかな ・イーゼル…キャンバスをのせる台。製作したい作品の大きさで選ぼう これらをいっぺんに買うと荷物が大変なことになりますがガンバレ

2)題材を決めよう!

何を描きたいのかをよく考えましょう。風景の模写がオススメです。旅先の風景や、現実の街を基にもっとファンタスティックな光景を描きたいなあなんて、イメージをふくらませましょう。 資料は先に用意しましょう。自分で写真を撮るのが後々公開するときの面倒ごとが少なくてオススメです。 写真を見ながら描く前提でお話しますが、なにもかも写真どおりにする必要はもちろんありません。 むしろ写真より美しい色や存在しないものを入れたほうが面白いでしょう。 個人的に題材として好きな光景は、空と電線とか、夕暮れや光る線路等です。 夕暮れ~夜のよいところは、全体は暗くてよいので山や建物などのディティールが省けてシルエットだけでいい感じになることと、星の光や建物の光や線路の反射光が引き立つことです。ハイライト作業楽しすぎ。 駅や線路は一点透視的な視点ですっきり見やすいのでよいです。 以下ではそのような風景を描く想定でお話をします。

3)描こう!

イーゼルにカンバスをかけて、パレットに絵の具を出して、さあ実践です!

…その前に絵の具が床につかないよう配慮しましょう。新聞を敷くとか。 それからキャンバスに下地を塗りましょう。青空や夕焼けの時には下地は薄ピンクで塗るのがオススメです。(蛍光)ピンクに白をたくさん混ぜて、水または油で少し延ばして、大きい筆で均一に塗りましょう。私は横方向に塗ります。ここででこぼこするのはそういうタッチを狙っている時以外ではよろしくないです。絵の具がもったいないほど使いますので、ここでジェッソ等を使ってもよいでしょう。

下地が乾いたら、下書きをしましょう。本当は木炭で塗る前のキャンバスに描いてフィキサチフなのかもしれませんが、面倒ですので鉛筆で適当に描いたあとは茶色等の絵の具で描いてしまいましょう。

下書きが描けたらいよいよ塗っていきます。気をつけることは資料に忠実に、遠くから塗ることです。当たり前のことですが、アナログ絵はレイヤーがありません。これに気をつけて、遠くから手前へと手前へと塗っていきます。また、乾燥の度合いにも気をつけてください。グラデーションや動物の毛などの柔らかな混色を表現したい場合は、絵の具が乾かないうちに別の色をおきます。混色を望まない場合は、完全に乾いてから別の色を塗りましょう。特に油彩は乾燥するのに数日間かかる場合があります。速乾性のペインティングオイルを使うと作業時間を短縮できますが、色合いが少し変わるかもしれません。

多くの場合空のベースとなるグラデーションをまず作ります。その次に、雲と雲の影を描いていきます。そしてその次に、遠景を描きます。山は適当に。建物は箱です。この段階ではディティールは気にしなくてよいです。一番暗い程度の色でシルエットを先に作りましょう。シルエットができたら、その建物の基本の色で面を作っていきましょう。 また、電柱を描きましょう。電線を描きましょう。これらは配置しておくだけでぐっと引き立つのでオススメです。

全体をなんとなく塗り終わったら気が済むまでディティールを詰めましょう。

そして最後にお待ちかねのハイライトを入れましょう。黄色や赤、好きな色で入れましょう。白だけを光とするよりも、◎←大きい円が色、真ん中の色が白 のようにしたほうがそれらしいです。発光している物体や反射光における真っ白な色は最後にのせましょう。

これで完成したはずです。道具をきちんと片付けましょう。どうしてもデジタルに比べて時間はかかりますが、作品が手元に残ります。 作品によく似合う額縁に入れて、人にみてもらいましょう。写真を撮ってpixivにアップするのもよいですが、せっかく実物があるので実物を見てもらうのが一番です。なので、展覧会等のイベントに出展してみるのもよいでしょう。むしろ締め切りがないと完成しない

4)CGに関すること

さて、長々と油・アクリルの個人的な製作手順を語りましたが、ここでCGに通じるところを考えてみます。

まず、CGをやってから描くアナログ絵についての個人的見解ですが、CGのグラデーションの感覚をアナログに持ち込むと最初からアナログだけで描くよりは効率的に描けると思われます。CG特有のRGBの蛍光するような色彩感覚をアナログに持ち込むと美しい風景等が描ける(はず)。蛍光色の絵の具等を使用すること可能になります。また、アナログ絵を描く前段階での下書きをCGでやるのも効率がよいです。 逆に、CGでアナログ的な手順で絵を描くのはレイヤーの節約になったり、つるっとした質感になりがちなCGにタッチを生んだりすると考えられます。レイヤーを分ける行為は色が混ざらないのが最大の利点ですが、同時に欠点にもなり得ます。1枚のレイヤーに描いた時特有の混色は味わいを生みます。

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この絵はレイヤーを分けて書きましたが、完成した絵の下~上のレイヤー構造はアナログで作業するときの時系列に対応すると考えられます。左上から右下まで、順番に下からレイヤーを1枚ずつ表示していっていますが、もしこの絵を油・アクリルで描くとしたらだいたいこのような順番で描くと思われます。

まとめ まじめっぽい絵の描き方になってしまいましたが、美術の授業じゃあるまいし、好きなものを描いていいんです。風景メインでなく、添え物にしてもよいのです。ただ写真を基にしたまじめな?風景画でも、いいなぁと思うものを、いったん自分が取り込んで、よりわかりやすく主観を交えてアウトプットするという作業なんです。ですから、一種の二次創作ともいえるかもしれません。

どうしても簡単にはならず、結構面倒くさいようなことを書いたので、やはりデジタルでないのは面倒だと思われるかもしれません。ですが、ちょっとでも手順や共通点を知ることで、「ふーん、そういう風なものなんだ」程度でも興味を持ってくだされば幸いです。みんな、実空間で絵を描こう!