●はじめに : ハードテックは動かない●
『ようこそ、ワンコードの音楽へ。』なーんてかっこよくタイトルをつけましたが簡単に言うとハードテックという音楽ジャンルの紹介記事となります。
お?と惹きつけるタイトルが重要ですからね、代表的な特徴をあげてまずページを開いてもらおうという算段になっております。
(というのは建前で本当の理由はハードテックという単語を記事のタイトルに入れると専門家の方々の目に止まってしまうかもしれず怖いから、です。)
一般的に皆さんが聴いている音楽はコード進行というものが存在すると思います。
ピアノの左手部分だったり、ベースラインだったり、一小節とか2拍ごととかに和音/音程が変わりますよね。
ゆゆうたとかが絶頂してますよね。
多くのハードテック音楽はブレイク部分とビルドアップ部分を除いてコードが動きません。
そもそもベースラインが単音なのでコードと呼んでいいのかすらわかりませんが。
これは、そんなハードテックという音楽を大好きな私が、より多くのMIDI民たちに作ってもらうべくお話していく記事となっております。
●詳しく : 音の構成と曲の展開●
では実際に代表的な曲を聴いてどんな音なのか耳で感じていただけたらと思います。
FANT4STIK - Kr4ken
この楽曲を用いて展開を分析しつつ、パート毎にどう仕事しているのか勉強していきましょう。
展開を分けると以下の様な形になりますね。
- イントロ 32小節
- ブレイク~ビルドアップ 32小節
- 1stドロップ 32小節
- ブレイク~ビルドアップ 32小節
- 2ndドロップ 32小節
- アウトロへの繋ぎ部分 8小節
- アウトロ 32小節
王道な展開で勉強するにはもってこいです。
それぞれのパートにどのような役割があるのでしょうか。
イントロ
曲の導入演出のほか、DJで用いる際に前の曲のアウトロと繋くという役割があります。
イントロ部分は音程など主張の激しい音は入れず最低限のパーカッションだけの構成がDJユースとしては好ましいです。
ブレイク~ビルドアップ
一旦テンションを鎮める(ブレイク)ことでサビ部分への高低差を作ります。
ハードテックではこの部分でコード進行のあるメロディを入れる事が多い様です。この曲kr4kenもそうですね。
そしてビルドアップ部分でこれから盛り上がるぞ!と準備をします。
ドロップ
j-popでいうサビ部分です。めっちゃ盛り上げられる部分ですし、逆に音を少なくして意外性に振る構成もあります。
ハードテックではキックとベースが主役となって曲を盛り上げていきます。
アウトロ
曲の終わりへ向け少しづつ音数が少なくなっていきます。
DJで用いる際は次の曲のイントロと被さってきます。
曲中のテンションをグラフっぽく示すと画像の矢印のような盛衰になります。
全ての曲が同じ展開という訳ではないですが、いわゆる基本形といえるでしょう。もはやクラブミュージック全般の基本形ですね。
僕は曲を作るとき大抵この展開を忠実に守って作ります。
意外性やオリジナリティがない!と思うかもしれませんがライブでお客さんが初見で踊るためには多少のベタ展開は大事なのです。
●詳しく : キックベースは曲の顔●
もちろん他にもドロップ(サビ)部分でコード進行がなくなる音楽はたくさんありますが、ハードテックはかなりこの特徴が顕著だと思われます。
コード進行が無い、また半数ほどは加えてメロディも無い。キックとベースの音にひたすら魂を込めた音楽なのです。
アルバムのクロスフェードデモなどを聴いてみるとキックベースの個性がより理解できるかもしれません。
これを聴いて頂いた方は「あーハードテックってこういう音楽なのか」となんとなく掴めてきたかと思います。
キックベースの作り方について以前記事を書いた事があります。
ツイッターで公開したのですが評判良かったので興味あったらそちらもチェックしてみて下さい。
ハードテックを広めるべくキックベースの作り方記事を書きました。
— 4nzu (@v_shiko_anzu) October 31, 2018
キックベースについて僕の持っている知識を詰め込んだつもりです!
他ジャンルの方々も気軽にチェックしてみてくださいねϵ( 'Θ' )϶https://t.co/6mhFVaoNLN
気に入って頂けましたら引用RTなどでシェアして下さると嬉しいです! pic.twitter.com/E1IC3S2uQQ
●まとめ : ハードテックを作ってみよう●
この記事の中でハードテックがどんな音の構成なのか、どんな展開なのか、キックベースがどんな音なのか。ということに簡単に触れてきました。
紹介から作り方まで、広くあさーくですね。
普段聞き慣れない音楽でつまらないと感じる人もいるでしょう。私も最初はそんな感じでした。
でもこういった曲を聴くことで歌詞やメロディより深層にある音色(おんしょく)という情報で音楽を楽しむことができるようになるかもしれません。
もしこの音楽を好き!と感じたMIDI民がいたら是非ともトラックメイクに挑戦してもらいたいです。
まだまだ日本産の楽曲が少なく進化中のシーンですので一緒に盛り上げていきたいですね!*\(^o^)/*
●おまけ : 僕のプロジェクトファイル●
おまけとして僕が作ったハードテックのプロジェクトファイルがどのようになっているか晒します。
どんな音が使われているのか理解する事は実際に曲を作る時に役に立つと思うので良かったら参考にしてください。
これまで作った曲でハードテックらしい曲を探してみました。今年春の新歓コンピに収録した楽曲です。
そしてこの曲のプロジェクトファイルが以下の通り。
完璧なまでにハードテックの基本形に倣っていて気持ちいいですね。
比較的音の構成も一般的なハードテックとして良い例なのではないでしょうか。
キックベース帯がこの画面では4トラックで済んでいますが実際は事前にレイヤーして作った波形を1トラック目に使っているのでもうちょっと複雑。
その辺の話は先ほど紹介した記事に詳しく書いているので読んでみて下さい!
個人的に意識している事は盛り上がるターンと落ち着くターンをメリハリつけて作ることです。
常にキックがなっていると踊っている側も疲れてしまいますし、常にテンションマックスではいられません。
ブレイク地帯でしっかり休憩できるようにメリハリつけて作ってみるのも良いと思います。
長々語ってしまいましたがおまけコーナーもここらでお終い。
もし気になる事があったらなんでも訊いてくださいね!
ここまでお読み頂きありがとうございました!*\(^o^)/*
明日12日目のアドカレはおいなりさんの「やってみよう!ドット絵!」です。
やってみようかな…ドット絵…。