MIS.W 公式ブログ

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ビッグバンド・ジャズを聴いてほしい話【カウントダウンカレンダー2018冬16日目】

はじめに

 こんにちは、Rébecca Missillierです。MIDI研でジャズを書いています、人呼んで生音派の超右翼(誰か呼んでください) その名に恥じることなく、ひねもすジャズを聴いています、基本的にジャズしか聴きません、大好きです…
 カウントダウンカレンダー16日目は、ジャズっぽい曲を聴いてみたいけど何から聴いたらいいのかわからない…そんなあなたに僕が気に入っているビッグバンド曲を10曲ほどご紹介いたしましょう、という回です。さあさ、お立合い。

 なお、この記事では楽曲へのリンクとしてApple MusicのURLを掲載しています。ジャズ系の品揃えが良いです。ぜひご利用ください。

ビッグバンドとは

 ビッグバンドとは、狭義には、トランペット×4、トロンボーン×4(テナートロンボーン×3、バストロンボーン×1)、サックス×5(アルトサックス×2、テナーサックス×2、バリトンサックス×1)の13人編成のホーンセクションと、ピアノ、ギター、ベース、ドラムの4人によるリズムセクションから成る17人編成のバンドの名称です。いろいろ増えたり減ったりします。主にジャズを演奏しますが、フュージョンやラテン、ポップスにも通用しうる柔軟さ・拡張性を兼ね備えています。
 ジャズの歴史の比較的初期から存在した演奏形態で、会場を埋め尽くす大迫力のサウンドの妙は今も昔も聴衆を惹きつけて止むことがありません。クリスマスシーズンの街中でよく流れている気がします、あとは深夜バラエティ番組など、など。

ジャズの構成について

 ここでは簡単な紹介に留めさせていただきます。
 ジャズの核となる要素は「テーマ(主題)」と「アドリブ(ソロ/インプロヴィゼーション)」です。テーマ部では楽曲の主題とコード進行を提示し、アドリブ部では独奏者がテーマを元に自由に演奏を展開します。一通りアドリブが済んだところで、楽曲は再びテーマ部に戻ります。
 また副次的な要素として、「イントロ/アウトロ」特にビッグバンドには「ソリ」「シャウトコーラス」などが挙げられるでしょう。少人数で演奏されるジャズにおいてはイントロやアウトロはアドリブで演奏される簡易なものになることが多いですが、ビッグバンドではこの限りではありません。特に特徴的でわかりやすいものを紹介しますと、イントロのフレーズをアウトロに持ってきて最後だけ改変する「ブックエンド・コンセプト」という技法があります。「ソリ」はアドリブ風のフレーズ(実際、ジャズの作編曲家のほとんどは自分でジャズを演奏することができるためほとんど実際のアドリブを元にしたものですが、当然そうである必要はありません。)を、あらかじめ複数の楽器にアレンジして提示しておくものです。サックスやホーンといったセクション単位で設定されることが多いですが、全管楽器による合奏(コンサーテッド)の場合もあります。「シャウトコーラス」とは最後にテーマ部に戻る前にこうしたコンサーテッド・パッセージを挿入する構成の名称です。

楽曲紹介

The Super Mario Players feat.Kate Davis - Jump Up, Super Star!

Jump Up, Super Star!

Jump Up, Super Star!

  • The Super Mario Players feat.Kate Davis
  • サウンドトラック
  • ¥250

 Nintendo Switch用アクションゲーム「Super Mario Odyssey」テーマソング。すごい、ジャズだ… 勧められて初めて聴いたとき胸を打たれました。意外なところからですが、僕の中で最近のベストヒットだったので一番に挙げます。これだからジャズ聴くのはやめられないんですよ、全然意識してなかったところから不意に最高のお気に入りが飛び出したりして。

熱帯JAZZ楽団 - Obatara

 実力派揃いのラテンジャズビッグバンド、熱帯JAZZ楽団のライブ盤より。初版は同バンドの2ndアルバム「September」。
 ソプラノサックスのアドリブ終盤3:44から流れが変わっていって、薄めの伴奏の上でコンサーテッド・パッセージ、ソロ頭から高音をロングトーンで繰り出すトロンボーンのアドリブに引き継がれるんです、ここが、もう…。
 コンサーテッド・パッセージへのレスポンスとして示されるコーラスも、心惹かれますね…日本語や英語ではなくて、残念ながら意味は分かりません。もちろんフランス語でもない。

John Pizzarelli - Three Little Words

Three Little Words

Three Little Words

 顔良し歌良しギター良し、惚れちゃいますね。ギターのアドリブが前面に出てくるのはビッグバンドの編曲としては実は結構珍しいかも。もちろんただのイロモノではなくって、編曲がとってもいい。彼の代名詞でもある7弦ギターのカッティングソロも十二分にフィーチャーされています。
 このアルバムは全編ビッグバンドではありませんが、6曲目All of Meはもう少しテンポを落として、こちらも素晴らしいアレンジで、もうひとつ彼の特徴的な歌いながらギターで執るアドリブを聴くことができます。

Buddy Rich - Time Check

Time Check

Time Check

  • Buddy Rich
  • ジャズ
  • ¥150

 ストレートにスウィングというよりはむしろファンクぽい楽曲が印象的で学生ビッグバンドにも大人気のバディリッチですがこの曲は全編ウォーキングベースです。BPM270を超えるくらいのファストナンバー。
 楽曲構成で言うと2回目のAセクションに当たる部分、サックスセクションを軸にトランペット・トロンボーンセクションがそれぞれ対位法的に補完し合う圧巻のアレンジが炸裂します。一度でもビッグバンド編曲を夢見た者なら落涙必至の傑作です。

Count Basie - April In Paris

April In Paris

April In Paris

 いわゆる「エイパリ」。初めて楽譜を購入して見た曲で、個人的に思い入れがあります。
 ベタなんですけど全体的に非常に完成度が高い編曲、クライマックスまでの流れが細かいところまできちんと作り込まれているというか。メンバーによる暗記でアレンジしていた時代の彼のバンドとは一線を画す綿密さ。
 “One more time”は誰が何と言ってもかっこいいです、バンドを握っている感じがします。僕もビッグバンド編曲するときはいつでも“One more time”って気持ちで編曲しています。

The Brian Setzer Orchestra - Pennsylvania 6-5000

Pennsylvania 6-5000

Pennsylvania 6-5000

 ジャズではありません(ジャズではない) ブライアンセッツァーはロックスターですね、この曲もロックンロールという分類が正しいと思います。でも、ちゃんとジャズ狙ってきているんですよ… 編成はばっちりビッグバンド、この曲は古き良きグレンミラー楽団の名曲のカバーです。一度は聴いたことがあるはず。
 同アルバム9曲目のCaravanもスタンダードジャズナンバーのカバーです。なんとグラミー賞を獲得した快演。

Thad Jones & Mel Lewis – Quietude

Quietude

Quietude

 落ち着いた曲です。他に挙げる名曲たちとは少し違う文脈のジャズに位置するビッグバンドであり、アレンジやフレーズ、ボイシングがより”モダン”です。どういうことかは語るととても長くって深いのですが、その雰囲気が味わえる楽曲だと感じています。
 Thad Jonesが先かMel Lewisが先かで表記揺れがあり、ジャズ界の逆カプ戦争であると言えるでしょう(?) ちなみに日本ではどういうわけか「サドメル」で通っています。

Jazz Orchestra of the Concertgebouw - Riffs 'n Rhythms

Riffs & Rhythms (feat. Jan Menu, Jesse van Ruller, Bert Boeren & Peter Beets)

Riffs & Rhythms (feat. Jan Menu, Jesse van Ruller, Bert Boeren & Peter Beets)

  • Jazz Orchestra of the Concertgebouw
  • ジャズ

 名前が長い。コンセルトヘボウとはオランダはアムステルダムに位置する音楽の殿堂であり、クラッシックに限らずジャズや現代音楽まで、比較的開明的なコンサートホールです。そのホールお抱えの名門ビッグバンドが「Jazz Orchestra of the Concertgebouw」と。
ジャズ好きならどこかで聴いたテーマの引用(Riffs)と、リズムチェンジと呼ばれるジャズの典型的なコード進行(Rhythms)で、Riffs 'n Rhythms。小洒落ていますね、こういうの大好きです。偉大なジャズの先人たち=ジャズ・ジャイアンツに敬意を示す正統派な楽曲です。
 13分あります。演奏も長い。

Quincy Jones - Soul Bossa Nova

 クインシー・ジョーンズをご存知ない?かの有名なマイケル・ジャクソンの「Thriller」のプロデューサーであったり、久石譲の名前の元になっていたり、とにかく著名なプロデューサーですが、それ以前はビッグバンドを率いていたのでした。
 ちょっと間の抜けた感じが癖になりますね。随所に用いられている特徴的な音色は、クイーカというサンバに用いられるパーカッションによるものです。

鷺巣詩郎 - Welcome to the Tokyo III jazz club

Welcome to the Tokyo III jazz club

Welcome to the Tokyo III jazz club

 自身が手掛けたエヴァンゲリオンの曲から主題を引いてきてジャズアレンジしたアルバムから、イントロダクション曲です。引用されているテーマは次回予告の曲で、題名は「次回予告」だそうです。そんなざっくばらんな。
 イロモノぽいけれど中身は最高なんです。このアレンジが欲しかったなって思う隙が本当になくて、派手なビッグバンドのお手本みたいなみっちりがっちりな曲。アドリブからサックスセクションに繋ぐ流れも、バディリッチみたいなドラムソロを挟んでテーマに戻るのも、テンポ半分にしてコーラスでしっとり締めるのも、手堅い。一時期ずっとリピートしていました。もちろん今でも何度も聴き直しています。

おわりに

 せっかく記事にまとめて紹介するのだから、たくさん聴いた中であまり知られていない素敵な曲を挙げようと張り切っていたのですが、結局定番のものばかりになってしまいました… 名盤はただ文句なしに良いということに尽きます。
 この記事が入り口になって、ジャズビッグバンドを聴く方がより一層増えるといいなあと願っています。僕もCDをいくつか所持していますから、気になったらぜひお声掛けください。

 明日は、Howaitonattouさんです。みすちゃんかわいいですよね、おたのしみに。