MIS.W 公式ブログ

早稲田大学公認、情報系創作サークル「早稲田大学経営情報学会」(MIS.W)の公式ブログです!

シミュレーションRPGの開発を通して感じたこと【カウントダウンカレンダー2018冬19日目】

どうも。51代のあたふたです。先日14日に引退しました(寂しい・・・)。

さて、筆者は今年6月頃から(構想段階であれば2月頃から)、シミュレーションRPG(SRPG) 「SPACE」というゲーム制作の企画を立ち上げました。早稲田祭2018や冬コミC95に向けて、企画長としてゲームの開発を進めてまいりました。

ですが、こういったチーム開発のリーダーを務めることは初めてでして、かなり苦戦しました。ですので、これからゲームを作ろうと考えている人や、或いは、ゲームに限らずチーム開発で悩んでいる人にとって、有益と思われる知見を共有できたらと思い、執筆させていただいた次第にございます。

どんなゲームを作ったの?

とその前に、まず作ったゲームの概要だけ宣伝させてください(汗)。

そもそもSRPGって何?

SRPGとは、盤面上で駒を戦わせるような、「戦略をシミュレートするRPG」です。こう言ってみると基本的に将棋と変わらないような気もしますが、SRPGでは駒がキャラクターとなっており、キャラクター一体一体がもつ技や武器等に幅があります。将棋の駒の「攻撃範囲のよる戦略幅」以上に、「技や武器による戦略幅」も増え、より奥の深いシミュレーションが楽しめるのが特徴となっております。

代表例としては、ファイアーエムブレムシリーズや、RPG要素こそあまりないですが、ファミコンウォーズシリーズ等が挙がります。

概略

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「SPACE」では大学のサークル同士の頂上決定戦が行われております。色々なサークルの人物が、さまざまな理由で大会に出場するのですが、その中である異変が起き、主人公のみすちゃんが巻き込まれていくのですが・・・?

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プレイヤーには、MIS.Wのマスコットキャラクター、みすちゃんになりきって戦ってもらいます。移動や攻撃、技や属性など、さまざまな要素が複雑に絡み合っており、非常に奥が深い戦闘になっております。戦い方は十人十色です。

チーム開発を振り返って

・・・とまあ、宣伝はこのくらいにしておいて、本題に入りましょう。

良かった点

2点ほど挙げます。

1. ゲームの仕様(ゲームシステム)を早い段階で決定できた

早い段階でゲームの仕様を確定させたため、大きな仕様変更によるプログラムの大改修には見舞われず、比較的安定して開発を進めることができました。

というのも、仕様(ゲームシステム)の策定に大きく関わったのが筆者で、かつ筆者はプログラミングも担当(経験)していたため、実装の大変さをある程度理解しておりました。こうした背景から、無茶苦茶な要求は提案する以前に取り下げることが殆どでした。若干ハードだと判断した要求でも、他のプログラマとも実装難易度を検討しつつ、比較的現実的な仕様に着地させることができました。

2. 状況に応じて必要な機能を柔軟に取捨選択できた

この企画のメンバーは、基本的に何かしら開発以外の他のタスクに追われることが多く、皆多忙を極めておりました。そんな中で、残り時間と照らし合わせながら、実現可能な機能をよく吟味し、ゲームを通じて最も伝えたい部分を精査し、ちゃんと形にすることが出来たのは、一つの大きな功績だと思っております。

悪かった点

3点ほどあります。

1. シナリオなどのアイデアが必要な部分をごく少数に丸投げしてしまった

イデアは放っておいても出ないものです。それを一部の企画員に丸投げしてしまい、筆者はただただ進捗確認するのみでした。当然思うように進むことはなく、特にCG研の立ち絵やドット絵素材の発注が遅れてしまう事態に陥ってしまいました。

2. 企画長が動き過ぎて、全体が止まってしまった

筆者は企画内でプログラミングとグラフィックの両方を担当しました。しかし、リーダーが一部に肩入れし過ぎた結果、進捗状況の共有が遅れ、他のパートの企画員が指示待ち状態となることも多々ありました。

3. 予定はある程度計画的に立てるべきだった

幾ら忙しかったり、突発的な予定に見舞われても、例えば「早稲田祭まであとn週間(m日)」といった形で、〆切までに使える時間を定量的に評価するべきでした。残り日数から逆算し、細かく〆切を内部で設定・管理した方が、企画長としても管理がしやすく、メンバーも作業を進めやすいものです。また、万が一〆切を破っても大丈夫なよう、ある程度の余裕を持たせると尚良かったと反省しております。

チーム開発をする上でどうするべきか?

5つあります。

1. チームとしての意思統一を図る

チーム全体として「どんなゲームを作りたいか」「ゲームを通じてプレイヤーに何を伝えたいのか」、といった主題の部分を十分に意思統一することがまず必要です。

特にサークルでのゲーム開発は、決して時間が潤沢に与えられている訳ではなく、計画が後ろ倒しになることは頻発するものです。当初予定していた機能が満足に実装される保証もないものです。

限られた機能しか実現できないと分かり、追い詰められた際に、チーム内で共有した主題に立ち返って「自分たちは何を優先して作りたいのか」を取捨選択し、議論することで、メンバーがその場でルールを作成し、そのルールに納得して開発に参加することができます。天下り式に与えられたルールよりも、自分たちで納得して作り上げたルールの下で仕事をする方が、モチベーションや作業効率が段違いであることは容易に想像できるかと思います。

2. できるだけメンバーと直接話をする

後述する3.とも関連するのですが、できるだけ直接会って話をすることをおすすめします。勿論、slack等のオンラインチャットツールで連絡を取るのも必要なのですが、バグへの対処法が分からない場合、細かい情報伝達のモレをサッと確認したい時、アイデアを出したい時には、その場で会って話をするのが最も手軽です。

チャットですと、いくら親しい間柄だったとしても、「誤解の無いような文章を神経を尖らせて考える手間」なるものが発生し、それだけで無駄に疲れてしまうものです。ニュアンスを含めて伝える上では、やはり肉声が最善です。

3. アイデアは時間を決めて皆で出す

2日目のべる君の記事や、6日目のwbiraki君の記事にも関連することなのですが、イデアはできるだけオフラインで、時間を区切って決めてしまうのが有効です。

往々にして、アイデアを決めなければならない部分は、面倒ゆえに後回しにされ、遅れがちです。例えば、「今日はみすちゃんの6種類の技名を30分で全部決める!」といった具合に、時間制限を設け、限られた時間でアイデアを無理にでも出して決めてしまうのが最も効率的です。〆切までの時間がタイトなら、尚の事この方法がおすすめです。

4. リーダーはチームのバランスを保つことを常に心掛ける

リーダーは当然チームの要であり、中心です。不在となっては、当然チームは立ち行かなくなります。「上に立って指示を出しているだけでは、メンバーから信頼されないのでは・・・」と恐れるあまり、どうしても手助けしたくなるかもしれません(実際に筆者がそうでした)。

ヘルプに入るな、とは言いません。しかし先述の通り、程々にしておかなければ、チームの他の部分の作業効率も下がってしまいます。「リーダーは、全体を俯瞰し、メンバーが開発しやすいような環境を全力で整えること」を常に意識すべきなのです。全体のバランスを見て調整することは、リーダーにしかできないのです。

具体的には、計画作りや進捗管理、チーム内の各パート毎の折衝や、場合によっては、外部から新規メンバーの確保等を優先し、常にチームの開発効率を上げることに尽力すべきなのです。リーダーと言えども、結構雑用が多いものです。

また、メンバーの皆さんは、決して「リーダーは踏ん反り返って指示出してるだけだ」などと思わないであげてください。あなたが円滑に、快適に仕事が出来ているのだとすれば、それは他でもないリーダーのおかげなのですから。

5. できるだけ素早くモノを作り、改良し続ける

確かに、自分たちの作りたいゲームの見通しを立てることは重要です。むやみやたらと仕様変更を繰り返してしまうのは、あまりクレバーとは言えません。(分析・設計部分の解説記事は、4日目くまちゃんの記事が参考になります。)

しかし、だからと言って、設計段階でウンウン唸っていても仕方がありません。だって、設計だけでゲームが作れる訳ではないのですから。

ある程度見通しが立った段階で、まず最低限の機能だけを作ってしまい、テストプレイをしてどんどん改良していくべきです。実際にテストプレイしてみることでバグが見つかったり、UIの向上等に繋がるケースは少なくないです。

便利なライブラリが無いかについても、よく調べましょう。開発効率がグッと上がります(但し、利用規約はよく読みましょう)。

まとめ

ゲーム開発はとにかく大変で、時間が掛かるものです。特にRPGは決めるべきアイデアが膨大で、早い段階から決めていかないと間に合わないものです (52代Dooさんによる3DRPG制作連載記事Part1-1にも言及されております)。

ですが、失敗を恐れないでください。どんどんゲームを作ってください。どんどんお客さんを喜ばせてください。お客さんが喜んだ時に感じる製作者としての達成感を、是非とももっと味わってほしいのです。

参考

本記事の中で言及した、他のMIS.W会員が執筆された記事を改めてまとめます。是非とも併せて読んでみてください。

  1. 52代べる君によるMIS CARTの振り返り

  2. 51代くまちゃんによるUMLを用いた分析・設計についての解説

  3. 53代wbiraki君によるRPG企画の振り返り

  4. 52代Dooさんによる3DRPG制作連載記事

また、「できるだけ要求に寄り添って、素早く柔軟に開発する手法」としてアジャイルだとか、スクラム開発」というキーワードが挙げられます。これらの単語をより深く調べてみても面白いかもしれません。

おわりに

長い駄文にお付き合いいだだき、ありがとうございました、、、(写真が少なくてごめんなさい!)

この記事を執筆している間も筆者を始め「SPACE」開発チームは皆、少しでもゲームをよくするため、ラストスパートを掛けております。

唐突ですが、早稲田祭2018にて、「SPACE」体験版の試遊に足を運んでくださった皆さま、誠にありがとうございました!この場を借りてお礼申し上げます。皆さまのフィードバックのおかげで、「SPACE」をより遊びやすく改良することができました・・・!

最後になりましたが、冬コミC95では「SPACE」のフルバージョンが頒布される予定です。MIS.Wは3日目12月31日(月)、東パ23aにて出展予定です。是非とも足を運んでゲットしてくださいね!


明日20日目は、ここなつさんによる「CG研員によるUTAU調声挑戦録」です。どうぞお楽しみに!