MIS.W 公式ブログ

早稲田大学公認、情報系創作サークル「早稲田大学経営情報学会」(MIS.W)の公式ブログです!

かわいい(?)曲の作り方【カウントダウンカレンダー2016冬10日目】

こんちゃ。mis.w50代のCapchiiです。本来まっしーが書く予定だったのですが、情報理工学科の闇に飲まれてしまったので、自分が代筆する運びとなりました。

さて、今回はタイトルにあるように、自分の作風の一つである「かわいい曲」のメイキングを晒していきたいと思います。

今回メイキングのために一曲用意してみました。

この曲のメイキングを説明していきます。

1.だいたいの方針を決める

いつもだいたい「どんなジャンルで」、「どのくらいの速さなのか」というのをまず考えます。仕事で依頼があるときなどはすでに決まっていることも多いですが、だいたいの着想はここから始めます。例えば拙曲Candy Struggle!!では、「BPM195でハッピーハードコア作るぞ!」というところから決めました。

今回の曲は「BPM128で付点8分音符(※)のビートの曲にしよう!」と思い立ったので、この方針で曲を作っていくことにします。

(※付点8分音符…8分音符の1.5倍の長さ。8分音符が「タッタッタッタッタッタッタッタッ」だとすると「ターッターッターッターッタッタ」といった感じ)

2.ドラムを組む

今回は明確な目標があるので、まずキックとクラップをサクッとこんな感じで打ち込んでいきます。

drum

(上がキック、下がクラップです)

次に、キックやクラップのノリを意識しながらハイハットを打ち込みます。

hat

ここでのポイントは32分音符(16分音符の2倍細かい音符。ちょうど真ん中らへんの詰まってるところ)を使うことです。独特のノリとキレが生まれます。

最後に、適当にドラム周りを「ポヨッ」とか「カチッ」っていう音で飾りつけしてドラム周りはひとまず完成です。こんな感じになります。

ちなみに、ここで使った音はすべてこちらこちらにあります。

3.コード

chord 自分の思うかわいい音楽は、「オシャレ+キャッチー」だと思っています。ここで、コードはオシャレ感を出すためにセブンスコードを多用していきます。通常、ソ、シ、レのように一つ飛ばしに重ねてコード(この場合はG)を作りますが、ここで、ソの一つ下の音「ファ」を加えるとセブンスコード(この場合はG7)になります。

今回、キーをD#で作りましたので、3つ下に下げて白鍵だけにすると、FM7→Em7→Am7→G(IVM7→IIIm7→VIm7→V,4365)となります。音楽理論についてはげんたろう君の記事がとてもよくまとまっていたので、そちらも参照してください。

シンセでサイン波を鳴らして、それにコーラスをかけただけの音を作り、これでコードを鳴らします。自分はSylenth1の音が好きなのでSylenth1を使いましたが、Synth1等でも同じ音が作れると思います。

最終的にこんな感じになります。

4.編曲

ここでサビ前まで一気に作ってしまいます。

intro

この画面はFLの「プレイリスト」と呼ばれる画面で、サビの直前までの部分を表示してます。ドラムやベースなどのパターンを作ったらここに張り付けていきます。上3つのトラック「Chord」「Drum」「Hat」については、先ほど作ったドラムとかコードです。ここで、新しく「Vox」、「Arp」、「Piz」、「Xylo」のトラックを追加しました。

「Vox」は声のトラックです。「ア」っていう感じの声のサンプルにピアノロールで直接音程をつけています。ちなみにこの声のサンプルはこちらでダウンロードできます。

vox

Arp」は30秒、「Piz」「Xylo」は、45秒あたりでバックで鳴らしています。このように、バックで細かい音をパンで左右に散らせて鳴らすと細かいノリ(?)が出ると思っています。この三つだけを鳴らすとこんな感じです。

  • Arpの音はSylenth1で作ったシンセの音です。このように16分音符の単純なくり返しで効果が得られるので、積極的に入れるといいと思います。
  • Pizはいわゆるストリングスのピチカートの音で、コードの構成音をアルペジオにして鳴らしています。
  • Xyloはシロフォンの音です。高音域を多く含むので、16分音符のノリで鳴らすとキレが出ます。

また、上の画像で見える波形は、後ろで流れている鍵を鳴らす音や、水を流す音などのいわゆる「環境音」です。これらのサンプルにピンポンディレイをかけてステレオ感をマシマシにしています。ここで使っているサンプルは有料のものもあるのですが、無料のものもあるので何個か紹介しておきます。

あと、コードの音を途中シンセからピアノに切り替えることで、少し展開をつけています。こんな感じでサビ前まで完成しました。

5.サビ

サビは言うまでもなく重要な要素で、曲の中で一番盛り上がるパートを目指します。そのため、楽器の数を増やしかつ、できるだけキャッチーなメロディーを聞かせるようにします。

sb

上がサビの部分のプレイリスト画面です。サビの前から一気に1.5倍くらい楽器が増えてるのが分かると思います。サビでは気を使うことが多いので、少しづつ分けて解説していこうと思います。

3.1 コード

sabicサビは思いきってコード進行を変えます。また、コードを担当する楽器を、イントロのシンセの音から新しいシンセの音に変えています。サビも引き続きセブンスを多用していますが、(これも三つキーを下に下げて白鍵に変換し田とすると)サビ前までのFM7→Em7→Am7→Gの後半部分を入れ替えてFM7→Em7→G→Am7(IVM7→IIIm7→V→VIm7,4356)というコード進行にしています。

また、サビではピアノを新しく追加したシンセの2つをセットでコードで鳴らしています。こんな感じになります。

 

3.2 ベース

808盛り上げるうえでは低音も重要な要素です。今回はキックに合わせて808と呼ばれるサンプルを鳴らしています。ちなみにサンプルは先ほどリンクを張ったパックに入っています。こんな感じでピアノロールにぶち込んで、コードに合わせてそれっぽく打ち込んでいきます。

ドラムと合わせるとこんな感じになります。

3.3 バッキング

バックではイントロまで鳴らしていた音のほかに2つ新しい音を追加します。「Gs」と「Mbox」です。

  • Gsはグロッケンシュピールと呼ばれる楽器です。音が好みなので自分の曲では多用しています。
  • Mboxはオルゴールの音です、比較的アタックが強いので、キレが出ます。

この2つだけ鳴らすとこんな感じです。

ちなみにオルゴール音源はなかなか小回りの効く音源で、バッキングからメインメロディーまで幅広く使えます。自分が今使っている音源はKONTAKTが必要ですが、オルゴールのサンプルをそのままサンプラーに突っ込むことで、音源の代わりに使えます。

  • 今使ってる音源「Victorian Music Box」...音がめっちゃいい。ゼンマイを回す音まで入ってます。また、わざと演奏のタイミングをずらす機能とかまでついてます。
  • 昔使ってた「musicbox sampling(ほりんち.net様)」...音はそこそこですがふつうにつかえます。こちらもゼンマイを回す音とかも入ってます。KONTAKTはいらないけどサンプラーが必要。

3.4 メインメロディー

merocサビのメインメロディーは曲の顔となる要素なので、できるだけキャッチーなメロディーを書きます。また、鳴らし方もとても重要なので、DTMの一番の醍醐味ともいえます。

今回はこんなメロディーを考えました。簡単のために、すべて白鍵上に乗るようにこれもキーを三つ下げています。

右の画像をみながら、自分がメロディーづくりにおいて気を付けていることを書くと、

  1. 1オクターブ上下させるところを必ず入れる(この場合は高いドから低いド)
  2. 全体をソからド、またはドからソへと動くような流れにする。
  3. 上に言ったら下に行き、また上に行く...といった流れを繰り返す。

...こんなところでしょうか

メロディーが完成したので、次にサビで鳴らす方法を考えます。今回はシロフォン(プレイリストの「Xylo」)とエレピ(プレイリストのEP)を重ねて歯切れよく鳴らすことにしました。こんな感じです。

ちなみにエレピの音源は無料で配ってるものです。とても音がよくオシャレなので愛用してます。

これでようやくサビが完成しました。

6.通しを作る

今まで作ったパターンを駆使して、2ループ目を作ります。ここで新しく楽器やフレーズを入れるとより展開の多い、飽きの来ない曲になると思います。

7.完成

曲を作りながらミックスをしていくので、曲を通しで作った時点でだいたいのミックスも完了しています。この状態で一回曲を書きだし、SoundCloudに非公開で上げて家の中をうろうろしながら聞きまわって改善点を見つけていきます。

8.最後に

ここまで読んでくださった方はありがとうございました。今回僕の手法を紹介しましたが、ほかにもいろいろなテクニックをブログやらTwitterやらで見つけることができると思います。また、ほかにもっと良い方法があれば、Twitterなどで僕にアドバイスを頂けるととても嬉しいです。

最後にもう一度文中で紹介した音源等のリンクを貼って終わろうと思います。ありがとうございました。


  • 「trisamples 808 trapstep pack vol.1 & vol.2」...trap/future bassを作る上で必要なサンプルがかなり網羅されています。
  • NODUSK FUTURE VOCAL CHOPS」...ボーカルをチョップした素材です。適当に音程をつけるだけでそれっぽくなります。
  • 効果音ラボ」...フリーで音質の良いサンプルが手に入ります。
  • Mornig Beast Artist Sample Pack」...エレクトロニカで使えそうなカチカチした環境音などがいっぱい入ってます。メッチャおすすめ。
  • Kinetic Treats」...来年の一月まで無料の音源です。ぶっちゃけ楽器として使えるかは微妙ですが、楽器の音色をオフにして環境音として使うにはかなり優秀です。
  • Victorian Music Box」...音がめっちゃいい。ゼンマイを回す音まで入ってます。また、わざと演奏のタイミングをずらす機能とかまでついてます。
  • musicbox sampling」...音はそこそこですがなかなか使いやすいです。こちらもゼンマイを回す音とかも入ってます。KONTAKTはいらないけどサンプラーが必要。
  • Sweetcase EP」...無料なのが信じられないくらい音がオシャレで使いやすいエレピです。