MIS.W 公式ブログ

早稲田大学公認、情報系創作サークル「早稲田大学経営情報学会」(MIS.W)の公式ブログです!

音と波形と重ね合わせ【カウントダウンカレンダー2017冬10日目】

こんにちは!

皆さんのアドカレの字数の多さにビビっているUENと申します。

52MIDI研所属です。初めましての方は名前だけでも覚えてもらえたら嬉しいです。

私は作曲しているジャンル上、音と音を重ね合わせることで新たなサウンドを模索したりしています。

そこで本記事では、音と波形について私が日常的にしていることを感覚的に理解していただけたらと思います。

  1. まず波形ってなんなの?
  2. DTMでの波形の役割
  3. 波形が曲にどう影響してくるのか
  4. 逆位相について
  5. 最後に

まず波形ってなんなの?

波形とは、波動の伝わり方を示す図のこと。一定点(ある定まった場所)において測定される何らかの物理量の時間的な変化を表現した図、もしくは一定時刻(=ある一瞬)の物理量の空間的な変化(=位置による変化)をグラフで示したもの。(wikipediaより)

らしいです。要するに、音を目で見えるようにしたものです。

もしあなたが早稲田理工生なら、理工学基礎実験でオシロスコープを用いて、上記の図のような音の波形を目にしたことがあると思います。

高校生でも実験の一環でオシロスコープを用いたりして、波形を目にすることがあるかもしれません。

DTMでの波形の役割

波形には音に関する様々な情報が詰まっています。

例えば、波形を見るだけでも、音の有無・音の高さ・音の音量という要素を知ることができます。

曲の展開ごと音量が異なってくる場合が多いため、全体波形を見ることで、サビで一番盛り上がるタイプの曲は、大まかにイントロ、サビ、アウトロ程度の位置ならわかります。バラードなどの音量が一貫してる曲は難しいですが。

特にクラブ系ミュージックでは展開による波形の差が顕著で、イントロブレイク(静かな部分)ビルドアップ(サビへの盛り上げ)ドロップ(サビ)などの一連の流れを、曲の波形一つで簡単に理解できます。

↑とある一曲の波形図。イントロ(最初の歯抜け部)、サビの盛り上がっている部分(四角になっている部分)が一目でわかります。

そのため、DJをやる人は前の曲から次の曲につなぐ時に、波形を確認することで、曲の位置やテンポの確認をすることができます。

要するに何が言いたいかというと、曲が曲として正しいものであるか、耳だけではなく目でも確認できるということです。

波形が曲にどう関係してくるのか

ここにキックドラムとシンセベースを交互に打ち込んだ音があります。

 

普段作曲等をしていない方は、この音を聴いて違和感を覚えた人は少ないかと思います。

ここで、書き出した波形の一部を見てみましょう。

この波形の中央部をご覧ください。キックドラムの終わりの部分とベースの始まりの部分が、濁ったような波形になっているのがわかるでしょうか。

キックの終わりとベースの始まりの音が重なり合ってしまって、別の音になってしまっているのです。

意図しない音の重なりが発生すると、不協和音になってしまったり、音が増幅・減少することで音本来の持ち味が消えてしまったりします。

次に、何も考えず重ねたキックドラムの音を聞いてみてください。

 

最初の四つは同じ音で、次の四つは別の音です。最後の四つは最初と二つ目のキックを重ねたものです。音が変に重なり合って、違和感のあるサウンドになっています。

特に、大音量で鳴らした時にそうした音のアラが顕著になります。

そうならないために、ミックスという作業でそうしたアラを取り除く作業が、曲を作る上で必要なのです。

ライブなどの音響では、そうしたことが起こらないよう最大限工夫されています。

つまり、耳で確認するだけでなく、波形を見ることで音の濁りもわかるんですね!

しかし、意図して重ねることで、サウンドをより良いものに変化させることもできます。

悪い方向へと働かさせることも、よりベターなサウンドにさせるのも重ね方次第なのです。

良い例は私レベルが主張するには少し恥ずかしいのでsound layering tutorial」などの言葉でyoutubeで調べてみてください。

逆位相について

さらにもう一つ、波形を扱う上で知っておいて欲しい概念があります。

逆位相です。逆位相とは信号の極性が反転しているもののこと、要は、音の波形を反転させたものです。

元の波形とその逆位相の波形を重ねると、音の波形+音の波形(逆位相)=0 となり、音がならなくなります。

音が逆位相かどうかは人間の耳では違いがわかりません。

試しに、以下の音を聞いてみて下さい。

最初の四つは全て同じスネアの音です。その後、その音を逆位相にしたものを四つ鳴らしています。

最後に、スネアとその逆位相を重ねた音を8つ鳴らしています。逆位相の音量は、元の位相の音量に少しづつ近づけています。だんだんと音が消えていくのがわかるはずです。

 

・逆位相の活用例

アニソンのリミックス(bootleg)

YouTubeSoundcloudなどの音声ファイル共有サービスに、アニメソングなどの○○(□□ Remix)などといった曲が投稿されてたりします。

原曲のボーカルを、投稿者のオリジナルの伴奏と合わせ、アニメソングをアレンジしたものです。

興味ある人はggってみて下さい。思っている以上にたくさんあるはずです。

https://soundcloud.com/aiobahn/luminas

筆者お気に入りのアニソンリミックス

「曲のアカペラは公開されてないのに、なんでアカペラだけの音源を持っているのだろう?」と、不思議に思いませんか?

そうです、こういった曲のボーカルは逆位相を用いることで声だけを抜き出しています。

曲のsingle盤等を購入した時に、(instrumental)などと書かれている声のない曲が収録されている場合があります。声のある曲に声のない音源の逆位相を重ねることで、声だけを抜き出しているのです。

声のある曲-声のない曲=声オンリー という図式です。

プリマスタリングによる音の差異から、完全に抜き出すことは難しいですが、伴奏と合わせてしまえば問題ないレベルで抜き出すことができます。

例を挙げると、アイドルマスター系列のCDsingleは、(カラオケ)という表記で収録されており、アニソンリミックスが盛んな印象があります。逆に、instの音源が販売されていない曲は、そうしたリミックスは下火です。ボーカルをぶっこぬけませんからね。

本記事では、アニソンを例として取り上げましたが、カラオケのある曲ならなんでもいいので、J-popや邦楽Rockにも非公式なリミックスが流行っている曲も多いです。

今は「歌声りっぷ」というフリーソフトで簡単に抜き出すことが可能です。声のぶっこぬきに興味があったら、上記のソフトを使ってぶっこぬいてみましょう。

もし、あなたがCubaseLogicFL studioといったDAWソフトを持っているのなら、手間ではありますが波形を逆位相にする機能があるので、それを用いてボーカル抜き出しができます。

一応、instがなくても音声を抜き出すソフトもあるのですが、逆位相のものに比べ精度がとてつもなく悪いです。そのため、instのある曲でぶっこぬきをした方が無難です。

もちろん非公式で法律的にグレーです。なので、個人で非営利目的で楽しみましょう。

ちなみに、大変ではありますが、instがなくても曲の部分部分から、音を一つ一つ抜き出して擬似的にinstを作ることで、ボーカルをぶっこぬける場合があります。音が単音ずつ抜き出せるような曲なら可能なので、根気ある人は頑張ってみてはいかがかな?

 

ノイズキャンセリング

ノイズキャンセリングイヤホン・ヘッドホンはご存知でしょうか?

耳につけると周囲の雑音を低減して、小さな音量でも曲が聞こえるようになったイヤホン・ヘッドホンのことです。この周囲の騒音を抑えるために、逆位相が用いられています。マイクで拾った周囲の音の逆位相を曲と同時に流すことで、あたかも雑音がなくなったかのような効果を得ることができます。

ちなみに筆者はノイズキャンセリング系のイヤホンは、特有の妙な圧迫感が苦手で購入したことはないです。

 

最後に

ここまで読んでくださってありがとうございます。

波形を重ねることで音がどうなるか、感覚的に理解していだけたでしょうか?

音を重ねるとはどういうことか、数式的には理解しても、実際に意識して耳で聞いたことがある人はあまりいないんじゃないかなと思います。

慣れてくると、波形をこうすることでこうなるというのが感覚で理解できるようになってきます。

曲だけでなく、”音”に注目することの楽しさを知ってもらえたら私としても嬉しいです。

次の記事は、”しくがわ”さんによる「Ruby on Railsを書く上で意識すべき事」です。

楽しみです!