MIS.W 公式ブログ

早稲田大学公認、情報系創作サークル「早稲田大学経営情報学会」(MIS.W)の公式ブログです!

論理的にプロットを作る[AdventCalendar19日目]

一度不完全な記事を誤爆しました。見かけてしまった方はそっと記憶の奥底にしまっておいてください……49代saiです。

私自身プログラムもイラストも作曲も出来ないのですが(なんでこのサークルにいるんだ?)、小説は得意な方なので、今回は小説の下書きともいえる”プロット”の作り方について書こうと思います。要するに物語の作り方ですね。小説に限らずゲームのシナリオにも役立つかもしれませんよ?

今から紹介する作り方は完全に我流ですから、どのサイトや書籍にも載っていません。もちろん、これが正しいと言う訳ではなく、一つの考え方としてとらえて頂ければと思います。

まず、基本的な指針ですが、

「小説は1%のアイデアと99%の理詰めで出来ている」

と、私は考えています。つまり、感覚で決まるのはたった1%で、あとは論理的に組み立てていくものだということです。そんなプロットの作り方を順を追って説明していきます。

①アイデアを用意する。

プロット作りはまず最初に、その感覚的な1%から始まります。自分が「こんな話が作りたい!」と思うアイデアを決めればいいのです。なんでも構いません。「アクションが書きたい」、「いかに人間が醜いか伝えたい」、「可愛い無口なヒロインを動かしたい」、「思いついた密室殺人のトリックを使いたい」……。そんな創作の原動力となる、スタート地点を決めましょう。

例えば……そうですね。最近道徳の教科化が話題になっていますから、「道徳が英語や数学よりも重視されるようになり、道徳受験が一般化するほどになった世界」の話が書きたい、とかどうでしょう?

②アイデアの種類を見極める。

小説には、大きく分けて七つの要素があります。

Ⅰ メッセージ性

Ⅱ 世界観

Ⅲ ストーリー

Ⅳ キャラクター

Ⅴ ユーモア

Ⅵ ウィット

Ⅶ 描写

描写は最もミクロな次元であり、小説を形作る最小単位とも言えます。それに次いで小さな単位がユーモアとウィットです。これらは物語に彩りを加える大切な要素ですが、ここでは説明を割愛します。メッセージ性は作品全体を包括する要素であり、時にメタ的な要素でもありますね。

以上の七つの要素のうち、自分のアイデアがどれにあたるかを確認します。

「道徳受験が一般化した世界」は世界観に当たりますね。

③アイデアを発展させる。

イデアを決めたら、そのアイデアを中心に「連想ゲーム」をします。アイデアの原因、結果、目的、利益、不利益、デメリット、アンチテーゼ……そのアイデアをより掘り下げていきましょう。

道徳が受験科目に至った原因はなんでしょう? その結果、教育現場ではどのようなことが起こるでしょうか? 文部科学省は何を目的としているでしょうか? 政府にはどのようなメリットがあるでしょうか? デメリットは? 危険性は? 反対意見は?

最初のアイデアがキャラクターであった場合、例えばそのキャラが無口になった理由だとか、家庭環境、それに付随する価値観、趣味などを固めていくことになります。

この時、注意することはその連想が②で上げた分類に依った場合、元のアイデアと同じ要素であるか意識することです。混在させてはいけません。区別しましょう。

④起承転結に照らし合わせる。

ブレストなどでアイデアを発展させたら、起承転結を考えていきます。実は起承転結は物語の最小単位では「ありません」。必要なのは「起」と「転」の二つだとお考えください。あとはなくてもいいのです。

例えば、日常会話の「話題」です。これは「起」「転」で構成されていることが多いです。例えば「タカシったらバイトの面接前に金髪にしたんだってwww」は「タカシがバイト前」であることが「起」であり、「金髪にした」ことが「転」です。これに「案の定面接に落ちた」という情報が加わればこれが「結」になりますが、これはなくても「話題」としては大方成り立ちます。会話そのものは「タカシがバイトの面接に落ちた」という「起」「結」であることの方が多いですが、これは物語とは呼び難いでしょう。「事実」とでもいいましょうか。

とにかく、物語に必要なのは「起」と「転」です。なので、この二つをまず決めます。「道徳受験が一般化した世界」は「起」に当たるので、「転」を考えます。ここで③で連想したものが役に立つと思います。例えば、「実は道徳教科は国民に戦争への抵抗をなくすための洗脳が含まれていて、試験は戦争反対分子を秘密裏に取り除くための検査だった」を「転」としよう! そうしたら「結」は、「国民がそれに気づき、道徳教科制度が廃止になること」にしようか、云々。

⑤他の要素を足していく。

上の④で気を付けて欲しいことは、②であげた七つの要素のうち一つの要素で起承転結を作ることです。「道徳制度の罠に気付きそれを廃止させる」という起承転結はいずれも「世界観」の中で完結していますね?(基本的には「世界観」「キャラクター」「ストーリー」のどれかになると思います) そのように一つの要素で一本の糸を創り上げたら、他の要素でも糸を作り、織り込んで一つの布にしていくのです。

例えば、「主人公は道徳のセンター試験で成績が悪く目を点けられて政府に消されそうになるも、命からがらなんとか逃げ延び、やがて政府の思惑に気付いて最後はメディアを利用して全国にそのことを暴露する」、というように「ストーリー」の起承転結を考えてそれを世界観と組み合わせていきます。さらには、その経験を通して主人公の価値観がどのように変わるかというキャラクターの「起承転結」も用意すれば、そこから「メッセージ性」は自ずと見えてくるはずです。そうした要素を補強していくことで、より豊かなプロットが出来上がっていきます。徐々にディテールを詰めていきましょう。

駆け足でしたが、プロットの作り方はざっとこんな感じです。いかがでしたでしょうか? この記事が読んだ方の創作活動に少しでも役に立てば幸いです。長文におつきあい頂き、ありがとうございました。