こんばんは。 早大経営情報学会(MIS.W)幹事長のemolgaと申します。
さて今回、24回目の記事は、CentOSとZimbraを用いたメールサーバーの構築についてです。
昨今、VPSの普及によりエンジニアのみならず我々一般人も自前でサーバーを構築する機会が増えてきました。 Web(HTTP)サーバーの構築は割と難易度が低く、構築した経験がある方も多いと思うのですが、いざメールサーバーとなると設定がややこしく、挫折した方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は「お手軽かんたん!メールサーバー構築」と題しまして、従来ネットに出回っていた方法よりも簡単に出来るメールサーバーの構築方法を解説します。
1. はじめに
今回の目標は、 ・自分独自のドメインのメールアドレス(例: hogehoge@YOURDOMAIN.com)でメールを送受信出来るようにする。 ・パソコンやスマホのメールクライアントでメールを送受信出来るようにする。 ・GmailやYahooメールと同様に、ブラウザ上でメールを送受信出来るようにする の3点です。
今回は、さくらVPSで動作するCentOS6(64bit)とお名前.comの場合を例にして解説します。 (他のサービスを利用した場合も、設定画面こそ違いますが他の基本的なコマンド等は一緒です)
2. 前提条件
この記事では、既に ・さくらVPS等のVPSサーバを契約している ・お名前.com等でドメインを取得している ことを前提には話を進めます。 まだこれが済んでいない方は、以下から契約を進めてください。
さくらインターネット http://vps.sakura.ad.jp/
お名前.com http://onamae.com/
3. VPSの初期設定
まず、サーバーを構築するための下準備としてVPS上のOSを再インストールします。 ※新規にサーバーを構築する場合のみ。既存の環境にメールサーバーを構築する場合はこの章を飛ばしてください
まず、さくらインターネットの会員メニューにログインします。その後。契約情報→契約サービスの確認から、「さくらのVPS」と書いてある項目を探し「サーバ設定」をクリックしてください。 すると、以下のような画面が表示されると思います。 この画面が表示されたら、右上の「OSインストール」→「標準OSインストール」をクリックしてください。 ここで「rootパスワード」の入力を求められます。 「root」とはサーバーの管理者アカウントのことで、つまり「rootパスワード」はサーバを管理するために今後必要になるパスワードです。このパスワードが破られるとサーバー自体が乗っ取られてしまうので、出来るだけ複雑で長いものを設定してください。 入力が終わったら、「入力内容を確認する」→「インストールを実行する」の順にクリックしてください。 以上でOSの再インストールは完了です。
4. ドメイン関連の設定
ドメインとは?
この章に入る前に、まず「ドメイン」の概念について理解していただく必要があります。 Wikipediaには以下のように書いてあります。
ドメイン名(ドメインめい、domain name)は、IPネットワークにおいて個々のコンピュータを識別する名称の一部。(中略)通常、IPアドレスとセットでコンピュータネットワーク上に登録される。
情報通信系の学生でもない限りちょっと意味不明ですね。もう少し噛み砕いて説明します。
まず、インターネットに繋がっている全てのサーバーやコンピュータには「IPアドレス」と呼ばれる4~12ケタの数字が割り当てられています。(厳密には違いますが)この数字は電話番号のようなもので、他のコンピュータに接続する場合は基本的にこの数字が使われます。 例えば早稲田大学のWebサーバーのIPアドレスは138.91.1.204で(記事執筆時現在)、実際にブラウザのアドレスバーにこの数字を打ち込めば早稲田大学のHPにアクセスすることが出来ます。
しかしながら、この番号は人間にとっては覚え辛いものであり不便です。そこで、ドメインという仕組みが登場しました。これは(これもまた厳密には違いますが)IPアドレスの別名のようなもので、「http://www.waseda.jp/」の「www.waseda.jp」や「info@misw.jp」の「misw.jp」の部分にあたります。 ドメインにはそれぞれIPアドレスが(大抵の場合は)一対一で割り当てられており、例えば「www.waseda.jp」は「138.91.1.204」を指します(記事執筆時現在)。この仕組みのおかげで、わざわざIPアドレスの番号を入力しなくてもホームページにアクセスすることが出来る訳です。
メールアドレスとは?
次に、みなさんが普段何気なく使っているメールアドレスの構造について理解していただく必要があります。 メールアドレスは、アカウント名@サーバー名の構造になっています。 例えば「info@misw.jp」は「misw.jp(=160.16.225.128)」というサーバーの「info」というアカウントという意味です。 サーバー名の部分がIPアドレスで表記されることは滅多にありませんが、前述したとおり(厳密には違いますが)ドメイン名はIPアドレスの別名であるのでinfo@160.16.225.128でもまたメールを送信することが出来ます。