新入生のみなさま初めまして! CG研のshowsageと申します。みすではマイナーな文系です。 このサークルに入った当時はプロ研志望でしたが、ツイッターでクソ診断ばかりやっていたら立派なフニャフニャCG研究会員に育ちました。
今回は、「今までアナログでしか絵を描いたことがないんだけど、MIS.Wってデジタルメインなんでしょ? ウーンむずかしそ…」というあなたや、「デジタルで絵を描くってどんなふうに進められていくの?」「どんな機能があるの?」「なんでツイッターで筋力アピールするの?」という疑問をお持ちのあなたに! わたくしshowsageがデジタル絵を描き進めていく過程を用いて、簡単にですがご説明しようと思います!
▶ 本記事はイラストメイキングではなく、本当にただデジタルイラストが出来上がっていく流れを見ていただく内容となっております。 ちょっとでもためになったら…との思いからいろいろと長い説明ができてきますが適当にふっとばして「へぇ~こんなもんか~」と思っていただければ幸いでございます。
1.準備段階
実はわたしはデジタルよりアナログで絵を描く方が大好き人間。そのためだいたいのイラストはまずシャーペンでA4用紙とかにちょろっと描き、着色する場合だけスキャンしてデータ化する、という感じでいつも楽しくフニャフニャしております。 というわけで今回のイラストの下描きはこちら。
謎のメモやらなんやら残っていますが、大好きな悪魔モチーフで描きました。これは350dpiで取り込んだものです。 dpiとは画像の密度のことを指します、が、こういう説明は実用的ではありませんね。 dpiは画像を印刷する場合に気を付けなくてはならない要素です。今はとにかく『カラーイラストを印刷するときは350dpi、モノクロは600dpi』と覚えておきましょう。 ゲームのアイコンやウェブ上のみで使われる画像なんかは72dpiが推奨されます。dpiが大きくなればなるほど容量が増すからです。 私はそういうゲーム用のイラストを除いて、万が一印刷するときのことを考え普段の落書きは350dpiで作業するようにしています。 大きいdpiは小さくできますが、その逆はできません。うっかり間違えると切手サイズのポスターができあがったりします。気を付けましょう!
これで画像のデータ化自体はできました。次はこの画像をきれいにしてみましょう。
2.レベル補正をする
言い忘れていました! チラシのイラストも今回のイラストも着色はPhotoshopで行っています。 しかしご安心を。ちゃんとソフトウェアフリーかつ用語知らないマンにもわかる解説で進めていきます。
それではまず色をきれいにのせるために、取り込んだ際に影が映りこむなどして全体的に灰色になった絵をきれいな白黒にしてみましょう。 そのために使うデジタル機能は『レベル補正』です。この機能ではコントラストを上げたり、画像の最も暗いところ・白いところを調節したりできます。 名称が違っても、まずだいたいの画像編集ソフトにある機能です。この機能がなくても手動で画像をきれいにすることは可能ですが、せっかくあるんだからどんどん使ってみましょう。大幅な作業時間の短縮が見込めます!
Before
After
レベル補正のウィンドウの真ん中のグラフの下にある、三つの三角▲▲△の位置が一枚目と二枚目の画像で違っているのがお分かりいただけますでしょうか。 あの三角を自分の気に入るまでこねくり回してみます。私は若干灰色が残っているのが好きなので、このくらいで落ち着きました。 それではこれで完全に色塗りに入る準備が整いましたね。どんどん次に行きましょう。
3.ブラシのススメ
わたしがPhotoshopをよく使っている理由は、その圧倒的ブラシ(ペンツール)の多さにあります。 Photoshopはご存知の通り世界中の人が使っている画像ソフトです。利用者の多いSAIやクリスタなどでもデフォルトで多様なブラシが用意され、またユーザーが独自のブラシを開発し配布していますが、やはりその数がPhotoshopを上回るのは難しいと感じます…。 とまあ、突然Photoshopのステマが始まり自分でも困惑しているのですが、さっそく次の工程である塗りに関連してブラシについてお話しします。
まず下塗りです。 このようにレイヤーと呼ばれる透明な紙を何枚も作り、それぞれ服・肌・髪などに分けて色を塗ると後から細かい箇所の色の編集が簡単にできるようになります。
この下塗りの時点で使ったブラシはよく「丸ブラシ」などと呼ばれている一番デフォルトのペンツールに、「カサカサした質感(テクスチャ)」を加えたものです。 ここで私が一番使った機能は『ブラシの不透明度を変える』というもの。 これは絵の具に水を足して薄めたり、付け足して色を濃くしたりする過程と似ています。
不透明度を低くする(水をいっぱい使う)と右の丸のように同じ白を選択していても背景が透けて見えるようなブラシになります。重ね塗りをすることで不透明に近づきます。この場合は白ですね。 この機能を駆使することによって一つのブラシと色でも濃淡のある塗りができます。 こまめにブラシを変える必要がないのでとても楽ちんです。
次は本塗りをしていきましょう。といっても今回はメイキング講座ではないので使ったブラシの解説をしようと思います。
使ったブラシとその箇所は画像をご参考ください(右上三つは今回は使用しなかったが普段よく使うもの)。ブラシは全てダウンロードしてきたカスタムブラシです。 フリーのものばかりですが作った方には必ず寄付をするようにしています…最高のブラシをARIGATO 先ほどわたしはアナログが好きだと述べましたが、デジタルで着色することになってもアナログ系ブラシでザカザカやってしまいます。 ちなみに絶対髪の毛にはスケッチブラシを使う!!!という決まりがわたしの中にあるわけではなく、その都度なんとなく使いたいブラシで様子見しながら描いています。 絵柄が安定しないという話はよく聞く悩みですが、わたしはソレッテいろいろな描き方で遊べる楽しい絵の描き方なのではないかあと思います。開拓する楽しみよ↑↑ (ちなみにこの段階でキャラの表情が変わりました)
4.加工のススメ
あれれ!? なんだか絵の感じが変わりましたね。実はさっき塗り終わったイラストに加工を加えてみたんです。どんな加工をしたのか、解説してみようと思います。
★ テクスチャについて 色塗っていると画面に色の違いだけではなく、服の布感や地面の凸凹感などいろいろな質感を描けるようになりたいなーと感じることがあるだろうと思います。髪のつやつやと絹のなめらかさは違ったり…結構難しいですよね。 そのとき役に立つのが『テクスチャ』です。テクスチャを使えば簡単にアクセントを入れたり、質感の違いを表現できるようになります。 今回は古紙のテクスチャをソファのレイヤーにのせてみました。なんだかぼこぼこした感じになって画面がにぎやかになりましたね。嬉しい。 古紙テクスチャに限らずですが、レンガやコンクリートなど、テクスチャを探すことになったらぐーぐる先生などで『○○ texture free』と検索してみましょう。きっと気に入るものが見つかるはずです。 そうそう、その場合は利用条約をちゃんと確認することを忘れずに! Freeでも商業的目的では使用を禁止しているテクスチャ配布サイトさんもいらっしゃいます。
★ 色収差について みなさまは『色収差』というものをご存知でしょうか。最近は動画のエフェクトにもよく使われる色収差ですが、写真を撮るとき、カメラのレンズがおなかがすいていると像の色のズレを起こし像の周りに青と赤の線を発生させます。一部嘘をついています。 これは元来カメラマンを悩ませるやっかいなやつなのですが、いかんせんかっこいいのに加えこのズレによってむしろほんとの写真みたいでリアリティが増す…ということでよく画像編集の際わざと付け足されます。 上のイラストを見ていただくと、顔など注目される場所には使っていませんが、角やソファ、足などにちらっと見えると思います。新歓のチラシも見ていただければ色収差を確認できます。 何よりもまずかっこいい。
かっこいい。
色収差はいいぞ。
5.ちょろっと完成
加工もあらかた済ませ、空気感が欲しくなりほこりみたいなのを付け足しました。ちゃんと遠近感のあるほこりです。 必要があればまたレベル補正を使って濃くしたり明るくしたりします。
唐突ですがイラストはこれで完成になります。いかがだったでしょうか。 落書きならこれではい次~となるのですが、もしどこかに提出するイラストだと、一日は置いて再度変なところがないか確認する工程が入ります。
今回は本当にただ流れを知っていただくだけの内容でしたが、四月の活動説明会ではブラシで具体的にどう塗っているのか、テクスチャはどう使っているのか、そもそも下描きに至るまでどういう描き方してるんやってことなども詳しく説明する機会を設ける予定です! キャー それ以外のことも(科目履修とかおすすめのピザ屋さんとか)質問してくだされば頑張ってフニャフニャお教えいたしますので、ぜひ新歓期showsageに会いに来てね!
-showsage 使えるソフト:Paint Tool SAI, Photoshop, CLIP STUDIO, Illustrator 力こそパワーだと去年の初夏悟ったからです
-Special Thanks 世界のnokさん