ようこそMIS.Wへ! この新歓ブログでは、新入生に向けて、会員が日ごとにさまざまな内容の記事を綴ります。情報系の技術向上のためのお話だったり、はたまた入学時に役立ちそうな、早稲田まわりでの生活関連の内容だったり。 そんなブログの1日目を担当させていただきます、50代・副幹事長・MIDI研究会所属のQ(アルファベット1文字で、きゅー、ってよんで)でございます。ちなみに社会科学部の3年です。 このサークルでは、会員が相互に協力しあい、CGイラスト、プログラミング、コンピュータ作曲を中心に、デジタル系の創作活動やゲーム制作を手広く行なっています。先述のとおり私はその内のMIDI研究会に所属しており、コンピュータ作曲をメインにして活動しています。曲作りは難しい、楽器?音量?どうしよ?私も日々悩んでいるわけですわ。さらに頭を悩ませるのが、「楽曲の展開」についてです。
いやいやぁ知ってるよ、Aメロ→Bメロ→サビ?とかいうやつだっけ?あと大サビ?やればいいんしょ?簡単じゃん。 確かに、よくあちこちで流れているJ-popなどの楽曲を聴けばそれらは「耳では」わからんでもない。しかし、「Aメロ」「Bメロ」「サビ」について、「それぞれなにをやればああいった展開の区切りが生まれるのか」をハッキリと明文化できるでしょうか。これがけっこう難しいんじゃないかしらと思います。 そこで本ブログでは、ひとつ、アクセスしてくれた新入生諸君の「MIS.Wってどんなサークル?どんな人がいるの?」に応えるべく、ふたつ、後発のブログ担当者たちにハッパをかけるべく、そしてみっつ、作曲をはじめたい!そんなキミにヒントを与えるべく、「楽曲の展開はどのようにつくられるか」について、私が普段曲作りのうえで意識していることを書いてみたいと思います。
本ブログで具体的に行なうことは次のとおりです。
ⅰ.一般的なボーカル楽曲にありがちな展開 ⅱ.イントロをつくる ⅲ.Aメロをつくる ⅳ.Bメロをつくる ⅴ.サビをつくる
いや雑かよ。まあそんなもんだわい。人生もな。 いかなる楽曲も必ずAメロBメロといったふうに分解できるというわけではありませんが、もし作曲をはじめたい、というのであれば、最初は展開のはっきりわかるものを目指してつくるのが望ましいと思います。本ブログでは、解説に沿って実際にボーカル曲をひとつ書き上げます。ボーカルの振る舞いをメインに、僕が気をつけていることを紹介しつつ、「飽きずに最後まで聴ける曲」がもつものの根拠づけを試みます。それぞれの展開ごとの楽器の役割についても詳細に書きたいところですが、そんな長いの誰も読まねえわな。ここまでですでにめっちゃなげえし。みんなわかったろ?Qさんはしゃべり好きなんだよ。他の楽器についてふれない以上は指南書としては希薄なものになってしまうわけですので、まあ、なにかのコラムとして読んでおくんなましと思います。オーソドックスなJ-pop歌曲だとけっこうこの記事のとおりにつくられてるんじゃないかしら。それでは我が家の看板シンガーIAちゃん、どうぞよろしくお願いします。
ⅰ.一般的なボーカル楽曲にありがちな展開
Aメロ→起・承、Bメロ→転、サビ→結といったふうにあたえられると考えられます。また、楽曲の盛り上がりは音程の高さに対応しています。よって、最初は低い音、そしてサビに向かうにつれて高い音になっていくというやり方が定石であるといえます。徐々に盛り上げ、少しアクセント、そして最後に大盛り上がり、この手順を踏めば、まずは「聴くにたえられる」曲ができると思います。
ⅱ.イントロをつくる:サビと同じメロディを使う、もの静かに始まり急にいっぱい鳴らす
曲については、よく「最初の30秒で決まる」と言われます。どういうことか。それは、ある曲について「この後も聴きたいか、それともつまらないと感じてもう聴かないかの判断をするまでが最初の30秒」ということに他なりません。いや楽曲の良さは最初の30秒では決まらんやろ、俺は全部聴いて判断するやで!たしかにそうとも感じるかもしれません。 しかし、「ウケる曲」というのは、えてしてその良さが2分も3分も後になって初めて発揮されるものでしょうか。そもそも音楽にそこまで造詣の深くないパンピーが「スタートの気持ちよさや全体のノリのよさ」以外の何で楽曲を評価しているのでしょうか。てか俺もよく20秒ぐらいでつまんねえなってやめちゃうし。つーわけで、大衆ウケを狙うならコレや!サビのメロディをイントロに起用する作戦!
⑴サビのメロディ のちのⅴにて詳述しますが、サビのメロディを最初に持ってきて光らせるためには、そのサビのメロディがサビのメロディとしてすでに十全に光っている必要があります。
⑵ボーカル以外の楽器 最初はあまり鳴らしません、そろそろっと始まり、一気に鳴らして急な展開を作りましょう。これでリスナーを飽きさせず、「最初の30秒」をクリアします。今回の曲では、ボーカルと同時にピアノだけを鳴らし、おしとやかに始めます。そしてボーカルが途切れたのちに一気にドラムス、ベース、ギターを入れ、急な展開を誘います。このパートでは、ギターソロでもう一度サビのメロディを弾いています。後々の展開をリスナーに予感させながら、Aメロにつなぎます。
ⅲ.Aメロをつくる:音程をあまり上下させず、同じパターンを繰り返す
楽曲展開においては、ここは「Aメロ開始:起、Bメロとのつなぎ目:承」といったところです。
⑴音程 ボーカルはいわば楽曲の顔です。この「楽器」の機微が楽曲の展開を物語ります。「起」の部分ですから、サビのボーカルほど高い音程をとることもなければ、Bメロほど奇をてらうこともありません。同じ音程をある程度キープ、かつ低い音程で歌わせましょう。
⑵メロディパターン このAメロが、楽曲のなかではっきりと展開として区別されるための要素に、「同じパターンを繰り返す」というものがあります。同じパターンが繰り返されると、どうにも単調です。でも、それでいいんです。「起」の部分が平坦であれば、Bメロやサビといった「転」「結」の部分が引き立ちます。
⑶ハモり パターンは同じにしたいが、ちょっとずつ盛り上げたい。そこで、次の小節からボーカルにハーモニーを加えます。Bメロとのつなぎと、その手前の部分を少しだけ変えます。この部分の音程が高くなるようにすると、「あっ変わるな」感がよく出ると思います。ここが「承」の部分にあたります。
IAちゃんテンション上がりすぎてレッツゴーとか言っちゃいましたね。
ⅳ.Bメロをつくる:1音の長さを伸ばす、音符の刻み方を変えてみる
起承転結の「転」にあたります。
⑴音の長さ Aメロより1音1音の長さを伸ばすことで、ゆったりとした印象を与えます。確実にAメロとの差異化を図ることができていると思われます。ドラムスも打ち方を変えているので、くっきりと次の展開に移ったことがわかると思います。
⑵音符の配置 三連符を使うことで、劇的に「転」となしています。鳴らす楽器も少なくしています。そして、Bメロ最後の「よ〜〜」と伸ばす部分は、Bメロ間において最も高い音となっています。ここで一気にサビまで連れていきます。
ⅴ.サビをつくる:音程を波打つように上げ下げする、低い音から急に高い音に上げる
音程の高さ、楽器の激しさは、そのまま楽曲の「盛り上がり度」に直結しているといっても過言ではありません。
⑴音程 画像は「VOCALOID Editor」とよばれるもので、ここに音符を打ち込んでボーカルを作ります。縦のピアノがそのままピアノの音階にあたり、横は時間軸です。 これを見てもらえればわかるとおり、時間に沿って音程が上がったり下がったりしています。そしてサビの始まりのメロディは、低い音からすぐに高い音に跳躍しています。さらにフレーズの中には、この曲のうちで最も高い音が含まれています。この「急峻な変化」と「高音」が、そのままサビの盛り上がりに直結するというわけです。
⑵その他の楽器 このタイミングで、すべてが鳴るようにしています。一番盛り上がるところですから、一番いっぱい鳴らします。
…こうして、曲ができたのでした。 分け目のハッキリさに注意し、「なんか聴いたことある」的な展開になったかと思います。この「展開を意識すること」が、リスナーをより長く楽しませるコツのひとつであるわけです。いかがでしたか?もしあなたが作曲をはじめたいと感じたとき、ここに書いてあるやり方をなぞれば、一応の「聴ける曲」をつくることはできるようになると思います。 この記事においては、具体的な作曲ソフトの使い方やボーカロイドの調声のしかたについては一切ふれていません。それらの技術面については、他の会員が丁寧に書いてくれることと思います(ドウカシラ…?)。さらにさら〜に、こんなブログじゃあきたらず、もっと作曲について深く知りたいという新入生のみなさん、ぜひMIS.Wの活動へと足を運んでみてください!クリエイティブな君たちを待っています!
それでは最後に、完成したものを、通しで。↓
さて明日は51代CG研究会、19くんの投稿です。お楽しみに!