MIS.W 公式ブログ

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アコースティックドラムをかっこよく打ち込む【新歓ブログリレー2018 2日目】

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます!
こんにちは、51代MIDI研究会の"""なかさん"""と言います。naka3という名義で曲を作ってます。
基幹理工学部表現工学科の新3年生です。

さて、私はDTM歴は約1年と浅いですが、ドラム歴はもうすぐ8年!ということで、ドラマー的カッコいいアコースティックドラムの打ち込み方について書こうと思います。
ややマニアックな内容になりますが、最後には「ちょっと作曲に興味があるけど…」な新入生に向けたメッセージもあるので、よろしければそこだけでも読んでいってください!

DTMといえばシンセサイザーを使った電子音系の曲と思われがちかもしれませんが、生音系の曲も無論作ることができます。
多くのジャンルでドラムスは重要な役割を担う楽器ですが、電子音楽と生音系の曲でその性質は大きく異なります。
ここでは、生音系の曲で使われるアコースティックドラムを、私がどのように打ち込んでいるか、その一例をお見せしたいと思います。
あくまで自己流なので、参考程度に、異論は受け付けます、よろしくお願いします。

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ドラムを打ち込む時に意識すること

[1]速い曲→単純!遅い曲→複雑!

ドラムは遅い曲ほど複雑、速い曲ほど単純に打ち込みます。
勿論、ジャンルによって違いはあります、一概には言えませんが…。
ここでは、BPM100~140程度の低・中速曲のドラム打ち込みを例として挙げています。

[2]「裏」を意識して間を埋めるように打ち込む!

「シンプルなパターンを作る」→「楽器が鳴っていない部分に音を追加して間を埋める」感じで作ります。
このスタンスで作れば、単調なドラムも聞き応えのあるものになりますし、複雑なドラムパターンが簡単に作れて玄人っぽくなります。
また「楽器が鳴っていない部分=裏のタイミング」であることが多いです。今回は特に「16分裏」を意識する場面が多く出てきますよ。

[3]実際に叩くことを考える!

パターンやフィルインを実際に叩くことを考えると、音のベロシティなどを考えやすくなります。
例えばフィルインの中で「同じ手で二打連続で叩く部分」があれば、そこのベロシティは弱く打ち込みます。
ドラマーでないとハードルは高いかもしれませんが、例えばドラムセットの配置やドラムの叩き方などについての知識を少し持っていると、ドラムを打ち込む時に便利です。

[4]作りたいジャンルのドラムを聴き込む!

最終的にはドラムの打ち込み方なんてジャンルによって違います。
自分が作りたいジャンルの曲を色々聞き込んで、そのドラムを真似するのが一番の近道だと思います。
その際、ここに書くことも少し参考にするとオリジナリティも出ていいかなと。



実際の打ち込み手順

ここからは、より細かく、私がどうドラムを打ち込んでいるか、その一例を見てみます。
ちなみに、この記事で使用するドラム音源は「DrumCore 3 FREE」です。
個人的には、フリーのアコースティックドラム音源の中ではMT-Power Drum Kit 2と並んでいい感じの音が出ると思ってます。
使用するDAWはREAPER ver.5.xxです。


まずは適当に打ち込んでみる

取り敢えず誰でも打ち込めそうな有りがちなエイトビートと、ただ4打ずつタムを回すだけのフィルインを打ち込んでみました。
下のシーケンス画像は上部が打ち込んだドラム、下部は音のベロシティ(強弱)です。
聞いてみましょう。

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非常にシンプルで面白みがないのが分かると思います。パターンもフィルインも極めてシンプルで単調です。
実のところ、BPMが180や190くらいになればこのレベルでも全然映えます。(速い→単純!)しかし、低中速だとそうはいきません。

この打ち込みがダサく感じる原因をまとめてみると、

  1. 基本パターンがシンプルすぎる
  2. フィルインがシンプルすぎる
  3. ベロシティの変化がないので全体的にのっぺりしている
  4. ずっと8分音符を刻み続けているハイハットに変化が欲しい

こんなところでしょうか。
原因が分かればあとは解決するだけですね!やったー。


Step1.パターンを少し凝ってみる

好みの問題なのでパターンはこのままでもいいのですが、まずはパターンを変えてみます。
下のようにバスドラムやスネアを増やしたり、16分裏のタイミングでバスドラムを鳴らしたりしてみました。聞いてみましょう。

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16分裏のタイミングで鳴る音が追加されたお陰で、少し良い感じになりました。

ドラムパターンは「聞いたことのあるパターンをそのまま使ったり組み合わせたりする」感じで作ることが私は多いです。
ドラムパターンなんて無限に存在するものですから、自分好みのパターンを見つけてみてくださいね。
ドラムパターンの作り方についても、いつかどこかにまとめたいですね。


Step2.フィルインを凝ってみる

ここからハードルがグンと上がりますが頑張りましょう。
フィルインというのは、曲のつなぎ目の部分とかでタムをドンドコしたりするアレです。
取り敢えず私なりにフィルインを作ってみたので、聞いてみましょう。

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かなり複雑なフィルインになりました。実際にこう叩くのは難しいですが、打ち込みのドラムだとやり過ぎくらいが個人的に丁度良い気がします。
さて、一つ一つ見ていきましょう。

[4小節目のフィルイン]

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スネア→ハイタム→ロータム→フロアタムと16分で二打ずつ叩く基本構成に、色々な飾りを付けています。
2つのポイントがあるので解説します。

(1)食い気味にフィルインに入る
変更前よりフィルインの入りが16分ひとつ分早くなっています。
この様にパターンに食い込むような感じでフィルインに入ることは結構多いです。

(2)ダブルストロークを多用する
ダブルストロークとは片手で二打叩く奏法です。
ここで、ドラムの叩き方とダブルストロークについて解説しましょう。

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実際にドラムプレイでフィルインを叩く時、表のリズムは常に右手で叩くことを意識します。16分の連打を叩く時、右手は常に16分表のタイミングを叩くと思います。
しかし、途中で32分や24分(便宜上こう呼びます)の飾りが入ると、左右が逆転してしまうことがあります。これを解決するのがダブルストロークです。途中左手で二打連続で叩くことで、表=右手を維持するわけです。
また、あくまで表=右手を維持する手段ですから、この手のダブルストロークは基本的に裏のタイミングに打ち込まれます。
さて、打ち込んだフィルインを見てみましょう。スネアに32分、ロータムに24分の飾りがそれぞれ16分裏のタイミングで打ち込まれています。
これらを左手で二打連続で叩くことになりますから、ベロシティが弱くなります。こうすることで、DAW上でダブルストロークを再現できます。参考に、上の画像には実際に叩く手順をR(右手)L(左手)で記載しています。
ちなみに、装飾的にダブルストロークを使うこのような奏法をドラッグと言います。

[8小節目のフィルイン]

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1小節にわたる非常に複雑なフィルインです。叩けと言われたら卒倒してしまうようなフィルインですが、打ち込みだから何やっても許されます。
ここにもいくつかポイントがあるので説明していきます。

(1)タム回しだけがフィルインではない
最初はタム回しをしていません。クラッシュシンバルやハイハット、スネア、バスドラ、タムが絡んだ複雑なパターンです。
最初の「クラッシュ→ハイハット→クラッシュ」はそれまでのエイトビートの継続と捉えることができますよね。このようにドラムパターンを作るような感覚でフィルインを作ることもあります。
こういう所でクラッシュシンバルをアクセントとして多用すると派手さが出ていい感じになります。

(2)16分裏のオープンハイハット
これは私の趣味ですが、16分裏のタイミングでオープンハイハットをたまに鳴らすと良い感じになります。その際、必ずバスドラムと一緒に鳴らします。
詳しくはStep3で解説します。

(3)ダブルストロークを多用する
上述したダブルストロークがここでも出てきます。スネアの32分が二回、しかもどちらも16分裏のタイミングです。

(4)速さの変わるタム回し
フィルインの後半はタム回しになっています。
構成としては、ドラッグこそ入っていますが16分のスネア→24分のタム回し。このように後半で速度が上がるタム回しはカッコいいです。
(まぁそもそも24分のタム回し自体がかっこいいという説はある)

こんな感じで2つのフィルインを作りました。
色々書きましたが、最初のうちは、フィルインは感覚に任せて打ち込み聞いてみて直して…という試行錯誤の繰り返しで作ってみましょう。
いろんな曲のフィルインを聴いてみるのもいいかもしれません。


Step3.オープンハイハットを活用する

さて次は、延々と8分音符を刻み続けるハイハットに変化をつけましょう。ここで使うのはオープンハイハットです。
刻みの中に何か所かオープンハイハットを入れてみました。聞いてみましょう。

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かっこいいでしょ?かっこいいですよね。

オープンハイハットの基本はズバリ「裏で鳴らして表で閉じる」です!
「閉じるってなんだ?」と思った人もいるかと思うので、ハイハットの仕組みについて簡単に説明します。
ハイハットは2つのシンバルが組み合わさっていて、左足を踏むと閉じ、離すと開きます。開いてる状態で叩くとオープンの音が鳴るわけですが、そこで左足を踏むとオープンの音が止みます。これが「閉じる」ということです。
ドラム音源は基本的に、オープンが鳴ってる状態でクローズやペダル(ハイハットを閉じる音)を打ち込むと、オープンの音が止むように出来ています。

さて、改めて打ち込みを見てみましょう。
1,3,5,7小節目にあるオープンハイハットは、16分裏で鳴り表で閉じるように打ち込んでいます。このようなオープンはバスドラムと一緒に鳴ることが多いです。
2,6小節目のオープンハイハットは、8分裏で鳴り表で閉じています。各小節の終わりにありがちなパターンです。

さて、オープンハイハットを使ってハイハットに変化を作れたら、いよいよ最後のステップです。


Step4.ゴーストノートを追加しまくる

個人的に、生ドラムを打ち込む時に一番大事だと思っているのが「ゴーストノート」です。
ゴーストノートとは、楽器を弱く叩いて鳴らす非常に弱い音のことで、意識しないと聞こえなかったり、全然聞こえなかったりするものなのですが、これがなかなか生ドラムっぽい雰囲気を演出します。
スネアと、ついでにハイハットにもゴーストノートを追加してみました。聞いてみましょう。

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めっちゃ生ドラムっぽくないですか?くぅ~疲れましたwこれにて完成です!

さて、解説に移りましょう。
ゴーストノートは殆どが16分裏のタイミングで鳴っています。今まで楽器が鳴っていなかった裏のタイミングでゴーストノートを入れることで「間を埋める」わけです。
ベロシティはかなり弱めに設定しています。
「裏に打ち込む」「ベロシティを弱くする」以外に意識することは特にないです。思い思いに打ち込んで試行錯誤してみましょう。


完成!!!

最後に適当にピアノとかベースを入れて仕上げます!

簡単でシンプルな伴奏でも、凝ったドラムが乗るとなんだか玄人感が出ますよね。

いかがでしたでしょうか。
ここに書いたドラムの打ち込み方はあくまで一例です。皆さんも独自のスタイルでドラム打ち込みに挑戦して、ループに頼らないオリジナリティ溢れるドラムを作ってみてはどうでしょうか!楽しいですよ!(多分)
ちなみに宣伝になりますが、MIS.Wの新歓ブースで配られるCDに収録されている拙作「アルバの丘と若葉風」では、ここで書いた打ち込みテクニックをふんだんに使っています!是非MIS.Wの新歓ブースに来てCDをゲットして、こちらも併せて聞いてみてくださいね!



おわりに

ドラムの打ち込み方の話はいったん終わりにして、私から新入生に向けたメッセージを書きたいと思います。
DTM、興味はあるけど、お金や知識面で敷居が高そうだからちょっと手が出しにくい…」という人、多いと思います。
結論から言ってしまえば…DTM始めるのにお金はいりません!楽典?音楽理論?コード進行?知らなくても大丈夫!です。お金も知識も、ステップアップしてからは段々必要になるかもしれませんが、最初は必要ないと思っています。
私はMIS.Wに加入する時「音楽に興味はあるけど、敷居が高そうだし取り敢えずプログラミング研究会にしておこう…」とプログラミング研究会に入り、二年生からDTMを始めMIDI研究会に入りました。
それからDTMにすっかりのめり込み、1年でかなり上達したように実感しています。が、今思えば、興味があるのに始めないというのはとても勿体ないことだったなぁと感じています。
音楽だけに言えることではないですが、興味があるのに始めないのは損です!幸いMIS.Wには色々なことをやっている人がいます。音楽も作っているジャンルは十人十色です。経験者に刺激を受け、色々なことを教えてもらえる環境ですから、創作活動を始めるにはもってこいの場所だと思います。
さぁあなたもMIS.Wで創作活動を始めて、今まで興味だけで終わってたクリエイティビティを爆発させましょう!

宣伝臭くなってしまいましたが、以上になります。新歓でお会いするのを楽しみにしております!
稚拙な文章ここまで読んで頂きありがとうございました。

明日の担当は51代げんたろう先生です!お楽しみに~。