この記事が公開されているころにはめでたく引退していることでしょう!52代のべるです。
そういえばMIDI研っぽい記事を一回も書いたことがなかったので書こうと思います。頑張って書きました。タイトルは書いた通り、ゲームのBGMの作り方です。僕は主にみすではこれを担当してきました。
https://www.freem.ne.jp/win/game/20217
今回はこのゲーム( : I wanna be the baker)につけたBGMを例に語っていきます。まだ遊んでない人は是非遊んでついーとしてくれると嬉しいです。
僕がどうやって作ってるかの一例を示したいと思います。この通りに作らない人もいると思います。対象読者はゲームBGMを作りたい人、曲作りで悩んでいる人です。
ごく単純化すると、やることはたった二つです。
1.イメージを決める
想いがこもってない、心がない作品は何となくわかります。そういう曲ができてしまう原因は大抵、あまりイメージを決めずに作り始めてしまうからです。
もしくは作っていくうちに自分の曲が嫌いになってしまったり...
この曲で表現したいことは何かを決めましょう。
どこで使われる曲なのか( : タイトル、エンディング、もしくはどこの町、村、塔、ダンジョンのBGMなのか)、そこはどういう雰囲気なのか、自分なりに考えてみましょう。シナリオやストーリー、もしくはイメージ絵があるとわかりやすいかもです。
2.イメージを曲にのせる
その雰囲気、表現したいものをのせるには何をどのように使えばいいか、考え、音を打ち込みましょう。
まあ、これがすんなりできれば苦労しないんですけどね!!
さて、具体的な作業的な面では次のように進めていきます。この通りじゃない時もありますが、なぜそれを僕がやっているか、自分なりの意見などもなるべく詳しく書いていこうと思います。これはループ曲→一般曲のような作り方の一例です。
2.1 メインテーマ(フレーズ)を決める
ここでいうテーマは、コンセプト的な意味の方ではないです。
曲の形式としてよくあるのが二部形式です。これは、A→B→A'→B' ... と続いていく楽曲のことです。このA, Bのそれぞれは異なるフレーズです。
フレーズって何ですか?
何だろ、メロディとハーモニーのセットみたいな、それだけでひとかたまりの、うーん、なんかそういうもんw
ループ曲にするかどうかで微妙に変わってくる気がしますが、一番聞かせたいとこから作る、というのがモチベを保つコツなのかな、と思います。
センスや能力のある人は曲の構成をコード進行から考えて、Aメロはこうで...みたいにするのかもしれませんが。
まあループしない曲ならサビから作る、ループ曲なら根幹となるフレーズから考える、という感じですね。
こういうのを言葉だけで説明すると眠くなってくるし何も伝わらないので自分の曲を例にあげます。曲だけでも聞いてってください。
夢子ちゃん可愛いですね。2019年のゲームジャムで作ったゲームの曲です。雰囲気は可愛いパン屋さんです。
曲の形式はA → A'のループとシンプルなものです。
こっからはTips的な話です。
☆思いついたメロディは書き溜めておく
このメインメロディは1日目の夜に52代のtakowasabiやmomokと海鮮丼を食べているときに思いつきました。メロディはいつ降ってくるかわからないのでいつでもメモできるようにしておきましょう。僕はiPhoneのメモに階名で残してあります。
まだ世に出ていないメロディ素案が大量にあります。
☆メロディが思いつかないとき
わかるーーーー。思いつかないんだよな〜〜そうはいっても。
正直運という感じだ。
まあとはいえ、イメージは決めてある(はずな)ので、それに合いそうな曲を探して聞いてみる、インプットしてみる、というのが大事なのかな、と思います。
参考:51代のnaka3さんはみすかーとのコースのBGMを作る時はカーレースゲームの曲を大量に聞いたそうです。
絵を描く時は素材探ししたり、プログラムを書く時はまず似たようなことをやってる人がいないか、ライブラリを探したりしますよね?たぶん。それと同じような感じです。
ここでもうこの世にあるからフリーのBGMでよくね?みたいな気持ちになったら負けです。絶対に自分の世界を作り出すためにあくまで参考として聞いてるんだという気持ちを強く持ちましょう。イメージと熱意、そして現状への不満無くして創作は成り立ちません。
あとピアノとか自分が弾ける楽器で遊んでみるのもいいかもしれません。この時は気ままに鍵盤を弾くでもよし、知ってる曲を弾きつつコード分析するもよし、何でもいいです。遊びましょう。
このようにして、雰囲気に合いそうなものを探したり思いつくことによってこのフェーズが終わります。コードから作りたい人は勝手に作ってください。
その方が間違いが少ないのは事実です。
2.2 かざりつける
いくら立派なもみの木( : メインメロディー)を買った( : 思いついた、作った)としても、飾りつけ無くしてクリスマスツリーにはなりません。色々飾りつけていきましょう。これもTips集です。
☆音色(楽器)を変える
先ほどの曲では2コーラス目(2フレーズ目、要は繰り返したところ)からメインメロディの楽器がみずみずしいピアノに変わったことがわかると思います。それとともに雰囲気も少し変わったことがわかると思います。
少し奥行きが出たというか。
メインのBGMは特に、ゲームのユーザーさんになんども聞いてもらう曲になるので、聞き飽きさせないことが重要です。そのための一つの手段がこれです。
さらっと書きましたが、同じフレーズを繰り返す、というのも立派な飾りつけの手段です。
正確には飾りつけの幹を生やすって感じですけど。
☆繰り返しながらハーモニーを変える(アルペジオ、和音etc)
メロディやリズムを変えてもいいです。要は発展させていきましょう。
ハーモニーは頑張れば一音一音、もしくはもっと細かくつけることができますが、あまり小節ごとに細かさがちぐはぐなのはオススメしません。自然な間隔でつけていきましょう。
ハーモニーがどうしてもよくハマらない(よくある)時は、とりあえずそこを飛ばして絶対ここはこうだ!というところから試しにつけてみて、前と後ろから流れで攻めてみたり、それでもダメだったらメロディを変えましょう。
これからコード進行の話を少しだけ挟みます。しかしこういうときにコード進行の話に持ってくのが僕はあまり好きではありません。
なぜなら頑張って書いてもみんな読まない上に伝わらないからです!
なので、僕が最低限気をつけてることだけ書きます。有識者にとっては甘いのかもしれません。この辺はコード進行について調べて一度独学してみたけどよくわからなかった、みたいな人の一つの参考意見になればいいなと思って書いています。それぞれの言葉がわからない場合は調べてください。過去のアドカレにあったような気がします。
・1コーラス目は基本形+7th(使っても9th)くらいで一旦完結(終止)させる
最初からカッコつけたコードばっか使ってたらその後発展させるのが難しくなりますよ。後聞く側も落ち着かないです。そういう雰囲気の曲にしたいのならどうぞ。
ベース( : コードの根音)がいい感じに進行(なんとなく上昇、下降する)するといい感じになる気がします。
・D( : Dominant ) → T( : Tonic)はなるべく守る。T → D の間に S ( : Subdominant)はなるべく入れる。D → Dってひっぱってもいいのはラスト(もしくは大きなフレーズの終わり)のような時。
逆進行(D → S)とかカッコつけない方がいいと思います。何度でも保険のために言いますがそういう曲を作りたいならそうしてください。それがゲームBGMとして合うかは別の話です。
ていうかそもそも、コード理論というもの自体が、人間の感性によって「よい」とされて来たものを無理やり理論に落とし込んだものなので、要はセンスなんです。D → Sを使う曲は巷に溢れてますし、別にいいんじゃね?と自分の耳が思うのであれば別にいい気がします。
・dim, aug, その他テンションコードなどはほどほどに
これらは、いわゆる基本形のコードには含まれないものたちです。上手く使えばとても効力を発揮しますが、和声学上は中途半端な役割を担っていることがほとんどです。つなぎや曲のアクセントに基本的に使われるものです。どうしても使いたい、ここぞというところにとっておきましょう。使うなとは言ってません。
ちなみに、コード理論を勉強したいのであれば参考曲としては歌謡曲や童謡、演歌などがわかりやすく、耳なじみもいいのでおすすめです。が、自分の好きな曲や解説動画などが最短路な気がします。
参考:
音楽理論入門【カウントダウンカレンダー2016冬8日目】 - MIS.W 公式ブログ
珍しく入門者向けの入門記事。
多分上級者向け。
☆間奏を入れる
メロディのあるところばかりが曲ではありません。曲で重要なのは緩急です。
何事もそうかもしれない?メリハリ。
間奏は基本的に真面目に作ったとこからコードだけとかリズムだけ抜き出して雰囲気をそれっぽくすると上手くできたりできなかったりします。わからなかったら参考曲を聞きましょう。なくても曲にはなります。
☆繰り返しながら盛り上げていく、転調する
ずっと同じ調の中にいると飽きますよね。人はDominantから別の近親調に飛びたくなるものです。盛り上がってここぞというところ、もしくは一旦終始したタイミングなどで、転調してみましょう。
この時に音色を変えたり変えなかったりする、みたいな先ほどまでのTipsとの組み合わせで曲の可能性は無限大に広がります。模索しましょう。
☆効果音(的なもの)をつける
ベルの音やシェイカーの音が先ほどのBakeryには入っていたと思います。忘れた人はもう一回聞いてください。この辺の楽器というか音は正直知ってるかどうかです。知識。
後センス。
合いそうだな、こんな音があったらいいのに、的なのを探しまくって、つけて試して、色々模索しましょう。僕はグリッサンドが好きです。
実際にやると爪が強くなります。
2.3 一旦音消したりしてみる、イントロとエンディングをつける
曲としての幹やその飾りつけってとっても楽しいですよね。夢中になりがちです。でも後もうちょっと。イントロやエンディングをつけてあげるとそれっぽくなります。
音を消してみたりする、というのは場面転換の一つの手段です。正確には2.2 かざりつける、に入るのかもしれません。
イントロは曲中で使われている楽器を先に少しだけ登場させてみたり、メインフレーズの前フリをしましょう。だから最初にメインフレーズを考えた方が作りやすいんです。イントロから作れる人はそれはそれで才能だと思います。
エンディングはどのように締めたいかよく考えましょう。はっきり終止させた方がいいのか、ループしつつフェードアウトがいいのか......など。いうまでもなく曲で一番大事です。こだわりましょう。
2.4 音域ごとのバランスを整える
ミキシングとかマスタリングとか言われるフェーズです。正直プロがいるので丸投げしてもいいとは思いますし、僕も全然できないんですけど、最低限自分の耳で聞いて違和感ないくらいの音量調整はしてから投げるのがいいと思います。
ここまでの過程でなんども聞いて自分の曲を好きになりましょう。
2.5 完成!!!
おこな夢子ちゃんも可愛いですね!
こうしてパン屋さんの夢が出来上がりました。多分今言ったTipsが全部入ってると思います。確認してみてください。
まとめ
自分の作った曲をどうやって作ったか言語化するのってとっても難しいですね。でも、各節の文章の長さからどこにどうこだわって作っていたかがわかるんじゃないかな、と思います。こんな感じで曲を作っている人もいる、ということが伝われば、また、曲作りで悩んでいる人に一つでもTipsを届けられたら、僕は嬉しいです!
よだん
同じゲームのクリアやゲームオーバーのBGMを作る時、また1から作るのではなく、拍子を変えたりテンポを変えたりするとそれっぽくなったりならなかったりします。以下のリストのBakeryresult, Bakeryresultbgm, Bakerygameoverなどがその一例です。
これはアレンジのTipsです。
明日は54代みゅー君の記事です!お楽しみに〜〜