おはようございます。こんにちは。こんばんは。おやすみなさい。
カウントダウンカレンダー2019冬と聞き52代CG研究会ドット絵班元班長ΙΔΈΑが馳せ参じました。
さて。
今年の新歓ブログで私は私が思うドット絵を描く際のポイントやコツをがむしゃらに語りました。今回はそんな私が実際はどのようにドット絵を描いているのか、そのようすを皆様にお届けしようかと思います。
とくに今回は私が得意とするポケモン風ドット絵を制作していこうと思います。ポケモンのようなドット絵を描くことは私にとって十八番中の十八番で、もはや三十六番みたいなところがあります。
少しでもドット絵に興味があるという方は一つ参考にいかがでしょうか。また興味はないという方も、ひとまず読んでみてください。予期せぬこの体験があなたの創作物をより豊かなものにしてくれるかもしれません。
それでは参りましょう。
題材
まずはドット絵として描くものを決めていきましょう。この題材を決定するフェーズがもっとも難関だという意見もあるようです。
ここで突然ですが、、、
皆様はこちらのボカロ曲をご存知でしょうか。
こちらはVOCALOID企画2019のもと誕生した巷で噂の超ボカロ曲で、最強の曲・最強のイラスト・最強の動画が織り成す究極の作品となっております。ダイレクトマーケティングでした。
ということで、今回はこちらに登場するキャラクターをポケモントレーナー風に描いていきたいと思います。
準備
描くものが決まれば、さっそく準備の方を始めていましょう。ここで用意すべきものは以下の三個です。
- ドット絵の制作ツール
- 参考となる資料
- 簡単な下書き(ラフ)
それぞれについて解説していきますよ。
道具
どれだけ意欲があっても制作するためのツールが無ければドット絵を描くことはできません。まずはそのようなツールを用意しましょう。
私は例のごとくEDGEという無料ソフトを使っていきます。こちらの詳細については先の新歓ブログで簡単に紹介しているので、よろしければどうぞ。
また現代は数多のソフトやスマホのアプリが存在する世の中なので、ぜひ適当なものを選択してみてください。
資料
今回のようにパロディのようなドット絵を描きたいとき、参考となる資料は必要不可欠でしょう。
実は私がこういったドット絵を描くとき必ず参考にするウェブサイトがあります。それがThe Spriters Resourceというところです。
このウェブサイトにはありとあらゆるゲームのドット絵が詰まっており、眺めているだけでも楽しむことができるかもしれないようなところです。とくに探しているドット絵が有名なタイトルのものであれば、必ずといってよいほど見つかります。
はるか昔から私はこのウェブサイトを見てドット絵を描いていたわけなのですが、ぜひ一つの材料としてお収めください。
下書
最後は描きたいドット絵のラフです。どのような構図にするべきか、ラフを描きながら考えていきます。
これはとくに必須でないのですが、ラフがあると制作をスムーズに進めることができるのでオススメです。「絵なんて描けないよ!」という方も、ひとまずどうにかアイデアを書き下してみると良いような気がします。
ということで簡単にラフを用意してきました。左腕を伸ばし、右手にモンスターボールを持ったイメージです。以降はこれを手元に据えて作業を進めていくことになるので、くれぐれも失わないように。
制作
それでは一通りの準備も済んだので、ここからは実際にドット絵を描いていきますよ。準備はよろしいでしょうか。
よろしいようで。
開始
さっそくEDGEを立ち上げてキャンパスを広げます。キャンバスのサイズは適当に128×128としておきました。
まずは大雑把に全体像を描いていきます。資料とラフを見ながら頭のイメージをキャンバスに射影していくのです。この作業は適当に気が済むまで続けていきます。
できました、これくらいの情報があれば十分でしょう。なお桃色の縦棒は絵の高さを測るための目安です。参考の資料を確認して、高さは72ピクセルと決めました。ついでに頭は18ピクセル、脚は30ピクセルと決めておきました。
添削
この大雑把な像を徐々にブラッシュアップしていきます。まずは輪郭を描いていきましょう。資料とラフに視線を反復横跳びさせながら、形を具体化していきます。
ということで輪郭の大半が完成しました。まだこの段階では完璧な輪郭を用意する必要はありません。追々修正していけばよいのです。
着色
このあたりでいよいよ色を塗り始めます。とはいってもひとまず色を置いてみるだけで、これも細かな調整は最終段階で行います。
まずは頭部を着色してみました(私はわりと頭部から着色しがちです)。これもひたすら資料を見て雰囲気を学んでいくのがポイントです。
ちなみにパロディのドット絵において頭部および顔面はもっとも重要です。当然のことかもしれませんが、描くドット絵の対象となる作品らしさは顔面に収斂されるといっても過言ではないので、慎重かつ丁寧に描いていきましょうね。
続いて脚部に取り掛かりました。頭から足にかけて順に下へ進めていってもよかったのですが、なんとなく脚部に移りました。これはただの気まぐれです。
ここではブーツの紐に苦しめられました。紐状の物体は詳細な表現を苦手とするドット絵にとって天敵です。一本の紐でさえそれを紐らしく見せることは大変だというのに、紐と紐が互いに絡み合うとなればそれは大変な問題です。目を細めながら対象を観察し、適度な抽象化を施しながら大胆に描いていきましょう。もしかするとこれには若干の経験を必要とするかもしれませんね。とにかく経験を積んでいきましょう。
それから左腕→胴体→右腕と着色していきました。奥にあるものから順に色を塗っていった感じですね。まあ手前から順に着色しても問題ないと思いますが。
この段階で問題となるのはもちろん手です。手は結局のところ五本の紐みたいなものなので、先述の内容に鑑みてもその難易度は最大級だと思われます。ただいまさら人体の造形にいちゃもんをつけても仕方がないので、例えば手を別の部分で隠したり手の形を描きやすいものにしておいたりと、構成を考える段階で策を講じておくのも一つの手でしょう。手だけに。
これでひとまずの着色が完了しました。次で最後ですよ。
調整
これが最後にして最重要なステップとなります。ここで作品の完成度が決まってしまうかもしれません。最後の最後まで油断することなく制作していきましょう。
とにかく参考となる資料を見ながら、まるで本物に見えるように加工を重ねていきます。今回は陰影を少し加えたり減らしたりして、髪色を少し変えました。同時に描き残してあるパーツやアイテムを詰め込んでいきます。今回ならば肩から腕に伸びる赤い帯と腕の金具ですね。
これを済ませればいよいよ完成です。
完成
はい、ついに完成いたしました。
いやあ、こうしてみると長い道のりでしたね。いつもはただ黙々と描き続けているだけなので、改めて工程を分析してみるとなにか感慨深いものがあるような気がします。
それにかなり良い出来に仕上げられたのではないでしょうか。今にもポケモンを繰り出しそうな眼差しですよね。なかなかうまい具合にポケモンの世界観に落とし込めたと思います。ありがとうございます。
以上
いかがでしたか?
まず普段ドット絵を制作することのない方、少しでも楽しんでいただけたでしょうか。少なくとも私はこのようにしてドット絵を描いています。ドット絵の制作過程を目にすることはあまり多くないと思うので、どうか一つの経験として心に留めておいてください。あ、これを機にドット絵を始めてくれてもいいんですよ?
次にドット絵を描いてみたい方や興味のある方、参考になりましたでしょうか。ほんのわずかにでも役に立ちそうであれば私は嬉しいです。ただし私の制作方法を無理に真似する必要はまったくないでしょう。あくまでも今回の記事は一つのサンプルとして吸収し、役に立てられそうな部分があれば思い出してみてください。
最後に。これは新歓ブログでも伝えたことなのですが、上達には「楽しむ」ことが一番だと私は思っています(当然これはドット絵にかぎった話ではありませんが)。そして物事を「楽しむ」ことに対する一つの取っ掛かりが「パロディ」であると私は思うのです。だってパロディって面白いじゃないですか。その面白いことが自らできるとなればそれは楽しいじゃないですか。楽しければ続けられて、自ずと技術は向上すると思うのが私なんです。というわけで皆様も一度なんらかのパロディに挑戦してみてください。きっと楽しくなれますよ。
ドット絵班のさらなる繁栄を祈りつつ、今回の記事は以上とさせていただきます。ありがとうございました。
明日の担当は54代プログラミング研究会hotmanさんです。乞うご期待。