はじめに
ボンジュールボンジュールボンソワール、53代MIDI研究会会長のレベッカと申します、リーダーなんだって
去年の新歓ブログリレーでも同名の記事を手掛けていました。1年経って、私の紹介するべき内容を選定する見方に少し変化ができたので、2020年度版と題してもう一度DTM導入記事を執筆します。
結果、内容はかなり簡素になりました。そこで、今回導入するソフトウェアの基本操作や具体的に普段どんなことをしているのかについて、おまけでいくつか書き足すことにしました。
以下は昨年の記事の導入部の引用です。
さて、MIDI研が手掛けるDTM(和製英語: Desktop Music、パソコンで作曲することです)では、創作以前にとりあえず音が出る状態まで行き着くことが第一の難所です。この記事をご覧になっている方は大学からDTMを始めたいという方が多いことでしょう。まさに環境構築に躓いているところだという方も少なくないかもしれません。あるいはCG研究会やプログラミング研究会に興味がおありかもしれませんね。公式ブログの過去記事にも「CG研員による...」、「プロ研でもわかる...」とある通り、DTMは他の研究会の皆さんにも人気があります。今回は、DTMを全くやったことがない、わからないという方を対象に、0からとりあえず好きな楽器の音が出る状態までセットアップをしていこうという内容で記事を執筆しました。
目次
DAWを導入する
DAW(Digital Audio Workstation)は、DTMの核となるソフトウェアです。波形やMIDIを統合的に司ります。
波形はいわゆるオーディオを指し、音情報そのものです。MIDIは発音位置や音量といった楽譜のような情報を扱います。MIDIを楽器に通し波形を得て、波形の編集/整形を経て成果物として波形データを出力するのがDTMの基本的なワークフローになります。
DAWは、有料のものから無料で使えるものまでたくさんの種類があり特徴もそれぞれありますが、詳細は省きます。
今回は、手軽にインストールできて60日間の試用期間が設けられているREAPER導入してみましょう。オールラウンダーなDAWで、私が愛用しているものです。
REAPERのインストール
https://www.reaper.fm/index.php
「DOWNLOAD REAPER」から環境に対応したバージョンを選択して、ダウンロードしてください。特に注意すべき点はありません、利用規約をよく確認して進んでください。Windowsであれば「Next」で先に進み、「Install」をクリック、macOSであれば、指示に従って「アプリケーション」フォルダにドラッグ&ドロップ、Linuxであればシェルスクリプトを実行して指示に従ってください。
初回時に音声デバイスを設定することを促すダイアログが現れます。
Windowsの場合は「Audio System」プルダウンに「WASAPI」(警告が出て咎められる場合は「DirectSound」)を選択します。macOSの場合は通常「default system devices」から変更する必要はないです。Linuxの場合は通常ALSAを指定してInput/Outputを適当に選択してください。
「OK」をクリックして変更を適用し、REAPERを終了します。
言語設定
https://stash.reaper.fm/v/27131/JPN_Phroneris.zip
Reaperには、有志ユーザーによる日本語化パッチが提供されています。ダウンロードされたzipを解凍し.ReaperLangPackファイルを開くとReaperが起動して自動でインストールされ、次回起動時から日本語表示が有効になります。以降の操作は日本語の表記で説明します。
ただし、私が確認した限りでは、現状ではLinux版(Experimental builds)では日本語パッチを適用すると全体が文字化けするようです。
プラグインを導入する
楽器や波形を編集する機能を提供するものがプラグインインストゥルメント/エフェクトです。
REAPERには標準で数多くのエフェクトといくつかのインストゥルメントが同梱されています。しかしインストゥルメントが不足しており、ピアノなどの基本的な楽器の音が収録されていません。
Juicy SFのインストール
https://github.com/Birch-san/juicysfplugin
今回はJuicy SFというプラグインの導入を紹介します。Windows/macOSに対応しており、Linuxでも動かないことはないだろうという註が添えられています。
「Latest stable release:」から自分の環境に合わせてダウンロードしてください。Windows版ではインストーラーを実行し、利用規約を確認すると自動でインストールされます。macOSでは、展開したファイルをそれぞれ指定された場所にコピーしてください。(リンク先「Install (macOS)」の項を参照)
サウンドフォントをダウンロード
https://musescore.org/ja/handbook/sauntofuontoto-sfz-fuairu
今回、対応する音色セットとしてMuseScore_General.sf3を選定しました。楽譜作成ソフトMuseScoreの標準音源で、多くの音色を搭載していながら、圧縮型であり軽量です。
「MuseScore_General.sf3 (36 MB)」のリンクをクリックしてダウンロードします。保存場所はどこでもいいですが、分かりやすい場所に置いておくことをお勧めします。私はマイドキュメント直下に「SoundFont」フォルダを作成して保存しています。
確認
「挿入」→「トラック」を選択し、追加されたトラックの「FX」ボタンをクリックすると、インストールされているプラグインのリストが表示されます。
標準搭載の「ReaSamplOmatic5000」「ReaSynDr」「ReaSynth」そして先ほど導入した「Juicy SF」がインストゥルメントで、そのほかはエフェクトです。下の検索窓で絞り込むこともできます。
「Juicy SF」を起動してみましょう。表示された画面の右上「...」からサウンドフォントを読み込みます。楽器の一覧が表示されるのでどれか選択して、下の鍵盤をクリックすると音が鳴るはずです。
上記がDTMの簡単な環境構築の紹介でした。昨年の記事を大幅に更改して、簡潔でトラブル要素の少ない内容に仕上げました。こちらも併せてご覧ください。
初めての打ち込みと書き出し
ここまでの内容で船出の準備は万端なのですが、これでは結局のところ私たちが普段どんな作業をしているのかわからないと言われてしまいそうです。そこで今年は、おまけ程度ではありますが、簡単な打ち込みの解説と、最終的な書き出しを実演します。
MIDIを楽器に通し波形を得て、波形の編集/整形を経て成果物として波形データを出力するのがDTMの基本的なワークフローになります。
MIDI
トラックを選択した状態で「挿入」→「新規MIDIアイテム」をクリックすると、当該トラックに「無題のMIDIアイテム」が設置されるはずです。これをダブルクリックしましょう。
鍵盤が縦に配置された方眼状の画面が出現します。この画面はピアノロールと呼ばれており、DTMの基本の入力画面で、大抵のDAWに同様のものが搭載されています。このグリッドをぽちぽちすると音符を入力することができます。
下のほうにある再生アイコンをクリック(この操作は通常キーボードのスペースキーに割り当てられています)すると、グリッド上を再生バーが駆け抜けて、入力した位置で音が鳴ることが確認できるでしょう。
エフェクト
Juicy SFに打ち込まれたMIDIですが、ちょっと音量が大きすぎますね!これを解消するためにエフェクトを挟んでみましょう。
いったんピアノロールを閉じてメイン画面に戻りましょう。Juicy SFを追加したときの「FX」→「追加」を辿って一覧を表示してください。「Volume Adjustment」を探して末尾に追加しましょう。
MIDIがJuicy SFを通って波形になり、波形がエフェクトを通るイメージです。「Adjustment」に設定されている値を下げると音量が小さくなります。-12ぐらいにすると適正な音量になると思います。
書き出し
打ち込んだものをwavファイルに書き出しましょう。
メイン画面左上の「ファイル」→「音声ファイルにレンダリング」と辿ってください。通常Ctrl+Alt+Rに割り当てられており、覚えておくと便利です。
ディレクトリを適当に指定してファイル名を付けて「1個のファイルをレンダリング」をクリックすると音声ファイルが書き出されます。これがDTMの最終的な成果物になります。
おわりに
さっぱりあっさりになってしまいました。マサカリ対策は難しいですけど、誰でも同じように辿ることができることを重視しています。
不明なことがあれば私レベッカで質問を受け付けているほか、ぜひMIS.Wの活動にお越しください。皆さんとお話したいことがたくさんあります。
MIS.W MIDI研では毎年恒例の新歓CDを制作しており、普段の活動での配布以外にも、今年はオンラインでの頒布も予定しています。続報をお待ちください。
明日は53代の葵さんの記事です、お楽しみに~